さつまいも・紅はるかの育て方【東北・山形版】植え付けから収穫・保存まで

さつまいも
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さつまいもは「暖かい地域の野菜」というイメージが強く、東北での栽培を諦めている方もいるかもしれません。

ですが庄内(日本海側)は、東北の中では比較的温暖な地域です。品種選びと植え付け時期を押さえれば、十分に育てられます。

この記事では、庄内での栽培経験をもとに、紅はるかの育て方を土づくりから保存まで順を追って説明します。


紅はるかとは

紅はるかは、2010年に登録された比較的新しいさつまいもの品種です。

糖度が高く、加熱するとねっとりとした食感になるのが特徴で、焼きいもにすると特においしさが引き立ちます。

貯蔵期間が長いほど糖度が増す性質があるため、収穫してすぐより、しばらく置いてから食べるほうが甘みが強くなります。

栽培のしやすさと味の良さから、家庭菜園での人気が高い品種のひとつです。


植え付け時期【庄内基準】

全国の目安との違い

関東や西日本では、さつまいもの植え付けは5月上旬〜中旬が一般的です。

さつまいもは寒さに非常に弱く、地温が15℃を下回ると苗が根付かずに枯れてしまうことがあります。

庄内は東北の中では温暖な地域ですが、5月上旬はまだ地温が低い日もあるため、焦って早く植えるのは禁物です。

庄内での植え付け時期

確認ポイント目安
カレンダー5月下旬〜6月上旬
自然のサイン田植えが終わり、日中の気温が安定して20℃を超えるころ
地温15℃以上(できれば20℃以上)になったら

温暖化の影響で庄内でも気温の上昇が早まっている年もありますが、地温の確認が確実です。

苗を植える前日に畑に水をたっぷりまいておくと、地温が上がりやすくなります。


育てるメリット

糖度が高く味がいい

紅はるかは収穫後に追熟させることで糖度がさらに上がります。

市販品では味わいにくい、完熟した甘さを自分で作れるのが家庭菜園の醍醐味です。

管理が比較的楽

さつまいもは乾燥に強く、肥料も少なくて済む野菜です。

水やりの手間が少ないため、忙しい農繁期と重なっても管理しやすいのが利点です。

長期保存ができる

適切に保存すれば、翌春まで食べ続けることができます。

時間が経つほど甘みが増すため、食べ頃を自分でコントロールできます。


注意したいこと

寒さに非常に弱い

さつまいもの苗は10℃以下になると傷んでしまいます。

庄内でも5月中旬までは朝晩の気温が下がることがあるため、植え付けは焦らず時期を待ちましょう。

つるぼけに注意

肥料を与えすぎると、葉やつるばかりが茂って芋がつきにくくなります(つるぼけ)。

さつまいもは肥料が少ない土でも育つ野菜です。特に窒素を与えすぎないよう注意しましょう。

連作障害

同じ場所で毎年さつまいもを育てると、線虫(センチュウ)の被害が出やすくなります。

最低でも3〜4年は同じ畝で育てないことが基本です。


具体的な育て方

STEP 1:土づくりと酸度調整

さつまいもはpH5.5〜6.5のやや酸性〜中性の土を好みます。

水はけの良い土を好むため、粘土質の畑は砂や腐葉土を混ぜて改良しておきましょう。

肥料は植え付けの2〜3週間前を目安に混ぜておきます。

資材量の目安(1㎡あたり)
堆肥1〜2kg(少なめでよい)
化成肥料(8-8-8など)50〜100g(少なめに)
石灰pH調整が必要な場合のみ50〜100g

肥料が多すぎるとつるぼけの原因になります。「少なめ」を意識するくらいがちょうどよいです。


STEP 2:苗の選び方と準備

さつまいもは種ではなく**苗(つる苗)**を購入して植えます。

良い苗の目安は以下の通りです。

確認ポイント良い苗の条件
葉の色濃い緑でハリがある
節の数4〜5節以上あるもの
茎の太さ鉛筆程度の太さ
状態萎れていない、傷がない

苗が届いたら、植える前に2〜3時間水につけておくと活着しやすくなります。


STEP 3:植え付け

さつまいもの植え付け方には「斜め植え」「水平植え」などいくつかの方法があります。

家庭菜園では管理しやすい斜め植えが一般的です。

項目目安
畝の高さ20〜30cm(高畝にして排水を確保)
株間30〜35cm
条間(畝の幅)60〜70cm
植え付け角度30〜45度の斜め
埋める節の数2〜3節

黒マルチを使う

植え付けには黒マルチ(黒色のマルチフィルム)を張ることを強くおすすめします。

理由は2つあります。ひとつは土壌の保温効果です。庄内の5月下旬〜6月上旬はまだ地温が安定しない日もあるため、黒マルチで地温を高く保つことで苗の活着が早まります。もうひとつは乾燥防止です。さつまいもは活着までの水管理が重要なため、マルチで土の乾燥を抑えることで管理が楽になります。

マルチを張ってから穴を開けて苗を差し込む順番で作業します。

植えたあとはたっぷりと水を与えます。根付くまでの1〜2週間は土の状態を確認しながら管理しましょう。


STEP 4:水やりの考え方

根付いたあとのさつまいもは、乾燥に強い野菜です。

タイミング水やりの目安
植え付け〜活着まで(1〜2週間)土が乾かないよう毎日水やり
活着後〜梅雨まで雨が1週間以上ない場合のみ
梅雨明け以降基本的に雨任せでよい

水を与えすぎると根腐れやつるぼけの原因になります。活着後は「乾燥気味」を意識しましょう。


STEP 5:つる返し

梅雨明けから8月にかけて、つるが畑全体に広がります。

このまま放置すると、つるの節から根(不定根)が出て芋に養分が分散してしまいます。

2〜3週間おきにつるをひっくり返して、不定根が土に入らないようにしましょう。

作業はつるを持ち上げてひっくり返すだけで十分です。


STEP 6:病害虫の予防と対処

主な病気

病気名症状主な原因対策
黒斑病芋の表面に黒い斑点が出る傷口からの菌の侵入苗や芋に傷をつけない。連作を避ける
軟腐病芋が腐り悪臭が出る過湿・傷口からの菌排水をよくする、収穫時に傷をつけない

主な害虫

害虫被害対策
コガネムシの幼虫土中で芋を食い荒らす連作を避ける。植え付け前に土をよく耕す
ネコブセンチュウ根にこぶができ生育が悪くなる連作を避ける。収穫後に深く耕す
ハスモンヨトウ葉を食い荒らす見つけたら手で除去。多発時は農薬を使用

STEP 7:収穫の目安

植え付けから120〜150日が収穫の目安です。庄内では10月上旬〜中旬が収穫時期になります。

霜が降りる前に収穫を終えることが大切です。さつまいもは霜に当たると傷んでしまいます。

収穫のサイン

  • 葉が黄色くなり始めた
  • つるを少し持ち上げると、芋がのぞいている
  • 試し掘りで芋が十分な大きさになっている

晴れた日が続いて土が乾いているタイミングで掘るのが理想です。

収穫作業はていねいに。スコップで芋を傷つけると、その部分から腐りが入ります。

収穫中、芋の切り口から白い液体が出てくることがあります。これはヤラピンと呼ばれる成分で、さつまいも特有のものです。初めて見ると何かと驚く方が多いですが、害はありません。

ヤラピンとは

ヤラピンはさつまいもの維管束(水分や養分の通り道)に含まれる樹脂状の成分です。芋を切ったり傷つけたりすると、白い乳液状になって染み出てきます。

色が変わる理由

空気に触れると酸化し、時間が経つにつれて黒っぽく変色します。芋の表面にヤラピンがついたまま乾くと見た目が悪くなります。収穫の際にスコップなどで芋を傷つけないよう注意が必要なのはこのためです。

体への影響

腸の働きを助ける作用があり、さつまいもに豊富な食物繊維と合わさることで、お通じの改善に効果があるとされています。さつまいもが「お腹によい食べ物」と言われる理由のひとつです。食べても問題ありません。

収穫時の注意点

手や服につくとべたべたして非常に落ちにくく、洗濯しても残ることがあります。収穫作業は必ずゴム手袋を着用し、汚れてもよい服装で行うことをおすすめします。


STEP 8:収穫後のキュアリングと保存方法

キュアリング(追熟・傷の修復)

キュアリングとは、収穫後の芋を高温多湿の環境に一定期間置く作業のことです。

目的は2つあります。ひとつは、収穫時についた傷口をふさいで腐りを防ぐこと。もうひとつは、芋の甘みを格段に引き上げることです。

実際にキュアリングをした紅はるかは、していないものと比べて甘さが別物になります。差し上げた方々からも驚かれるほど、仕上がりに差が出ます。

紅はるかを育てるなら、このひと手間は省かないことをおすすめします。

キュアリングの条件

温度30〜33℃・湿度90〜95%の環境に4〜7日置くのが理想です。

庄内の10月はこの条件を自然に保つのが難しいですが、身近なものを使って簡単に再現できます。

簡易キュアリングの方法

収穫後にしっかり乾かした芋をビニール袋に入れ、口をしっかり閉じます。

そのままビニールハウスの中に4〜7日置いておくと、ハウス内の高温多湿な環境がキュアリングに適した条件をつくってくれます。

ハウスがない場合は、晴れた日の車内に置く方法も有効です。日中の車内は温度が上がりやすく、袋の中に湿気がこもるため、同じような効果が期待できます。

専用の設備がなくても、工夫次第で十分なキュアリングができます。

保存方法

さつまいもは10℃以下になると低温障害を起こして腐りやすくなります。

冷蔵庫での保存は厳禁です。

保存方法適した状態保存期間の目安ポイント
常温(冷暗所)乾燥していて傷がないもの2〜4ヶ月10℃以上を保てる場所に。新聞紙で包んで段ボールへ
冷凍茹でてからまたは焼いてから冷凍1ヶ月程度生のまま冷凍すると食感が悪くなるため必ず加熱後に

保存中も時間が経つほど甘みが増すため、12月〜1月ごろに食べると最もおいしくなります。


まとめ

  • 庄内での植え付けは地温が安定する5月下旬〜6月上旬
  • 肥料は少なめを意識する(多すぎるとつるぼけになる)
  • 連作は3〜4年空ける
  • 霜が降りる前に収穫を終える(庄内では10月上旬〜中旬
  • 収穫後は10℃以上の冷暗所で保存する(冷蔵庫は厳禁)
  • 時間が経つほど甘みが増すため、食べ頃は12月〜1月ごろ

栽培の記録をメモや写真で残しておくと、翌年の植え付け時期や肥料量の調整に役立ちます。

AIを使って記録を整理したり、キュアリングの温度管理を確認したりするのも、手間を省く方法のひとつです。


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植え付け時期・収穫時期は山形県庄内地方(日本海側)を基準としています。地域によって差があるため、地元の農協や近隣の農家の情報も合わせて参考にしてください。

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