お盆の盆花を自分で育てる|ほおずき(鬼灯)の育て方【東北・山形の農家が解説】

橙赤色に色づいたほおずき(鬼灯)の枝。タイトル「盆花を自分で育てる ほおずき(鬼灯)の育て方」と「初心者でも簡単」のキャッチ ほおずき
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ほおずき(鬼灯)は、お盆の盆花として親しまれているナス科の宿根草です。8月になると、橙赤色に色づいた萼(がく)が精霊棚や仏前を彩り、東北の家庭でも古くから利用されてきました。

我が家のハウスの片隅にも、母が植えたほおずきが今も残っています。毎年しっかり芽を出し、暖かいハウス内では5月中旬ごろから白い花を咲かせます。

これまで特別な水やりや施肥はしてきませんでしたが、お盆に使える貴重な盆花でもあるため、今シーズンからはきちんと管理しながら育ててみることにしました。

この記事で分かること

  • 観賞用ほおずきと食用ほおずきの違い
  • 地下茎で増える宿根草としてのほおずきの基本性質
  • 山形・庄内の栽培カレンダー(春の芽出しからお盆まで)
  • お盆の盆花として使うための管理
  • 我が家のほおずきの実際の様子(白い花と萼の形成)

ほおずき(鬼灯)の基本情報

科名ナス科ホオズキ属
分類宿根草(多年草)
草丈40〜80cm
開花期6月〜7月(白〜淡黄色の小花。ハウスでは5月中旬ごろから)
観賞期7月〜8月(萼が緑→橙赤色に変化)
好適土壌pH6.0〜6.5
連作障害あり(ナス科)。宿根のため同じ場所で継続栽培
増え方地下茎で広がる
栽培の難易度初級(手間が少ない)

なぜお盆にほおずきを飾るのか

ほおずきの大切な役割のひとつが、お盆にご先祖様を迎えるための盆花です。橙赤色にふくらんだ萼が提灯に見立てられ、東北の家庭では精霊棚や仏前を彩る縁起物として古くから飾られてきました。下の図で、お盆にほおずきを飾る由来を確認してください。

お盆にほおずきを飾る理由を図解したインフォグラフィック。橙赤色の萼が提灯のように見えご先祖様を迎える灯りとされること、精霊が帰ってくる目印になること、空洞の袋に種が入る姿から魂を包む植物とされることなどを説明
図:お盆にほおずきを飾る理由。提灯のような萼がご先祖様を迎える灯りとされ、精霊棚や仏前を彩る縁起物として親しまれてきた。

ほおずきの原産地|ユーラシア温帯に広く分布する宿根草

観賞用ほおずきがどんな植物なのかを、原産地と基本の性質から整理します。お盆の盆花として身近な花ですが、その正体は地下茎で増える宿根草です。下の図で、ほおずきの来歴と性質を確認してください。

観賞用ほおずき(Physalis alkekengi var. franchetii)はユーラシア大陸温帯原産の宿根草で、日本では盆花・供花に使われ、地下茎で増えることを図解したインフォグラフィック
図:観賞用ほおずきの原産地と性質。ユーラシア温帯原産の宿根草で、地下茎を伸ばして毎年同じ場所から芽を出す。

庄内は日本海側で梅雨と夏に湿度が高くなりますが、ほおずきは比較的丈夫で土を選ばずに育ちます。半日陰でも育つ強健さがあるため、家のすぐ脇やハウスの片隅、畑の隅でも管理しやすい植物です。我が家のハウスの片隅で、ほぼ手入れせずに毎年芽を出している理由も、この地下茎で越冬する性質に支えられています。

観賞用ほおずきと食用ほおずきの違い

ほおずきには大きく分けて「観賞用」と「食用」があります。お盆に飾る橙赤色の萼は観賞用で、食用ほおずきとは別の植物です。違いを表にまとめます。

項目観賞用ほおずき食用ほおずき
学名の系統Physalis alkekengiPhysalis pruinosa / peruviana など
主な用途お盆の盆花・切り花生食・ジャム・菓子材料
萼の色橙赤色に色づく黄色〜淡褐色のまま
中の実赤色(食用には向かない)黄〜橙色で甘く食べられる
育ち方宿根草(地下茎で越冬)多くは一年草扱いで栽培

観賞用ほおずきの実・葉・茎には微量のアルカロイドが含まれるため、食用には向きません。我が家にあるのもこの観賞用で、お盆の盆花として使う前提のものです。食用として育てたい場合は、ストロベリートマト・ゴールデンベリーといった食用ほおずきの苗を別に選びます。

我が家のほおずきの記録|母が植えた株が今も残る

ハウスの片隅には、母が植えたほおずきが今も何株か残っています。いつ植えたのか正確な年数は分かりませんが、もう20年以上前になると思います。

これまで特に水や肥料を意識して管理してきたわけではありませんが、それでも毎年しっかり芽を出してくれます。

ハウス内は外より暖かいため、2026年は5月中旬ごろから白い花が咲き始めました。

地下茎で冬を越し、毎年変わらず芽を出す姿を見るたびに、宿根草のたくましさを感じさせてくれる花です。

2026年5月20日、庄内のハウス内で咲くほおずきの白い小花。下向きにベル状の花が一輪開いている
写真:2026年5月20日。ハウス内のほおずきが咲かせた白い花。花は下向きにベル状に開き、淡い緑の脈が透ける。

5月20日時点では、白〜淡黄色の小さな花が下向きに咲き、花が落ちた節からは、早くも萼(がく)がふくらみ始めています。

露地栽培では開花は6月以降になることが多いですが、ハウス内は気温が高いため、田植えが終わる5月中旬ごろには花が咲き始めました。

花は5枚の花弁が浅く開く控えめな姿ですが、ここから3〜4週間ほどで萼が大きくふくらみ、やがてお盆を彩る鮮やかなほおずきへと変わっていきます。

2026年5月20日、ハウス内のほおずきにつき始めた緑色の萼。提灯のような形に膨らみ始めた段階の実が複数確認できる
写真:同日。花が落ちた節から、緑色の萼がふくらみ始めた段階。お盆までに橙赤色へと色づいていく。

同じ株の別の枝では、すでに緑色の萼が提灯のような形にふくらみ始めています。この緑の萼が7月〜8月にかけて橙赤色に変わっていき、お盆の頃に盆花として使える状態になります。これまで何もせずに毎年この光景を見てきたので、今シーズンは支柱と最小限の追肥、水切れ防止を意識して、お盆にしっかり間に合うよう管理していきます。

山形・庄内の栽培カレンダー

庄内では、ほおずきの作業時期は春の芽出しから初秋にかけて緩やかに進みます。下の表は露地植えの目安で、ハウス内は気温が高いぶん、開花などの時期が2〜3週間ほど早まります。盆花として使う場合、お盆(8月13〜16日)に橙赤色の萼が揃っている状態を一つの目標にして管理します。

時期主な作業
3月下旬〜4月新芽の確認・株まわりの除草・株分け
4月〜5月元肥・支柱の準備・新芽の整理
5月〜6月草丈が伸び始める・支柱に誘引
6月〜7月開花・萼の形成が始まる
7月〜8月萼が緑から橙赤色へ・水切れ注意
8月中旬お盆の盆花として収穫
9月〜11月地上部の枯れ込み・地下茎で越冬

庄内は冬の積雪が深い地域ですが、地下茎は雪の下で越冬し、雪解け後に新芽を出します。4月に桜が咲く頃、株元の落ち葉を取り除くと、すでに芽が動き始めていることが多いです。田んぼで苗代の準備が始まるタイミングと、ほおずきの芽出しはほぼ重なります。

植え付け・株分けの基本

新たに育て始める場合は、ホームセンターや園芸店で苗を購入するのが手早い方法です。3月下旬〜4月の苗が並ぶ時期に、葉色が良く、株元のしっかりしたものを選びます。盆花用に育てる前提であれば、観賞用と明記された苗を選びます。

種から育てることもできます。盆花や切り花用に実を大きく見せたい場合は、実が大きくなる「大実」系の品種を選ぶと見栄えがよくなります。種まきは桜の咲く4月ごろが目安で、ポットで育苗してから植え付けます。

すでに株がある場合は、4月の芽出しの時期に株分けで増やせます。スコップで地下茎ごと掘り起こし、新芽が2〜3本付くように切り分けて、別の場所に植え替えます。地下茎は思った以上に伸びていることが多いため、最初は1〜2株から始めて、翌年以降の広がり方を見て増やしていくのが安全です。

植え付け2週間前に苦土石灰、1週間前に堆肥と元肥を入れて土づくりをします。土壌酸度はpH6.0〜6.5を目安に整えます。連作障害はナス科の中では出にくいほうですが、トマト・なす・ピーマンを直前に育てた場所は2〜3年あけたほうが安心です。我が家では電池不要で土に挿すだけのシンワ測定 土壌酸度計A 72724を使って、植え付け前にpHを確認しています。

栽培管理|水・肥料・支柱

ほおずきは丈夫で、手間の少ない植物です。庄内は梅雨の時期にしっかり雨が降るため、地植えなら特別な灌水は不要なことが多く、極端に乾燥した日が続いた時にだけ朝方に灌水します。ハウス内で育てる場合は雨が当たらないため、土の表面が乾いたら株元に灌水を施します。

追肥は5月と6月の月1回程度、化成肥料を株元に少量与えます。窒素分を入れすぎると葉ばかり茂って萼の色づきが悪くなるため、控えめが安全です。色づきの時期に近づいたら、リン酸・カリ中心の追肥に切り替えると花付きと萼の発色が安定します。

草丈が60cmを超えると倒れやすくなるため、6月頃に支柱を立てて麻ひもで軽く誘引します。ハウス内でも風で揺れるため、支柱は早めに準備したほうが安心です。倒れた茎は折れ目から枯れ込みやすく、せっかくの萼も色づき切らないことがあります。

お盆の盆花として使うための管理

盆花として使う場合は、8月中旬に萼が橙赤色に色づいた茎を根元から切り取って収穫します。葉を整理し、5〜7本ほどを束ねて飾ります。地植えの茎は長めに伸びるので、活ける器の高さに合わせて切り戻します。

色づきの進み具合は株や年によって差が出ます。お盆に間に合わせるためには、開花期に株を元気に保つことが一番大事です。極端な乾燥と窒素過多を避け、葉数をしっかり確保しておくと、お盆の頃に萼が揃って色づきます。直射日光が強すぎると萼の色が褪せることもあるため、午後の日差しを少し遮る環境のほうが発色は安定します。

切り取った茎は水切りをして花瓶に挿しておけば、葉が落ちても萼の色は1週間程度持ちます。お盆が終わったあと、萼を枝ごと風通しの良い場所に吊るしておくとドライフラワーとして長く楽しめます。

失敗しやすいポイント

宿根草で丈夫なほおずきですが、家庭で育てる時に注意したい点をまとめます。

  • 地下茎の広がりすぎ:放置すると思った以上に範囲を広げ、隣の作物のスペースを侵します。畑で育てる場合は、株のまわりに板や仕切りを地中に入れて広がりを制限します。
  • 萼の色づきが悪い:窒素肥料の入れすぎ、日照不足が主な原因です。追肥はリン酸・カリ中心に切り替え、半日以上は日が当たる場所で管理します。
  • 葉が虫食いだらけ:ナス科のためテントウムシダマシやアブラムシが付きます。葉裏を定期的に確認し、見つけ次第こすり落とすか、ガムテープで取り除きます。
  • 倒伏:草丈が伸びてから支柱を立てると、地下茎を傷めます。支柱は5月のうちに立て、6月の伸長期に合わせて誘引します。

主な病害虫と対策

病害虫症状対策
テントウムシダマシ葉が網目状に食害される見つけ次第捕殺。葉裏も確認する
アブラムシ新芽や葉裏に群生こすり落とすか、牛乳スプレーで対応
ハダニ葉が白くカスリ状に変色葉裏に水をかけて湿度を保つ
うどんこ病葉に白い粉状のかび風通しを良くし、被害葉は早めに摘除

ハウス内で育てる場合は風通しが弱くなりやすく、アブラムシとハダニが出やすい印象です。我が家ではハウスの扉を日中開けて空気を入れ替え、株間が詰まりすぎないよう、芽出しの時期に新芽を間引いています。

注意点|観賞用ほおずきは食用ではない

観賞用ほおずきの実・葉・茎には微量のアルカロイドが含まれており、食用には向きません。特に未熟な実は口にしないよう注意します。お子さんやペットがいる家庭では、収穫後に飾る場所や、地上部が枯れたあとの残渣の置き場所にも気を配ります。食用として楽しみたい場合は、ストロベリートマトなど食用ほおずきの苗を別に選んで栽培します。

また、地下茎で広がる性質があるため、植える場所を決める時は隣の作物との距離を意識します。畑の片隅やハウスの一角に限定して育てるのが、長期的に管理しやすい方法です。

よくある質問

ほおずきは毎年植え直す必要がありますか?

宿根草のため、毎年植え直す必要はありません。地下茎が雪の下で越冬し、翌春に同じ場所から新芽を出します。庄内でも、雪解けの後の4月に株元を確認すると、すでに芽が動き始めていることが多いです。我が家の株も、母が植えてから手入れせずに毎年芽を出しています。

ほおずきの実は食べられますか?

お盆の盆花として育てる観賞用ほおずきは食用には向きません。微量のアルカロイドが含まれるため、口にしないよう注意します。食用ほおずき(ストロベリートマト・ゴールデンベリー)は別品種で、苗の販売段階から区別されています。混同しないよう、苗の表示や学名で確認します。

お盆に間に合わせるにはいつの管理が大事ですか?

萼が橙赤色に色づくのは8月中下旬ですが、それまでの花付きと結実が出来栄えを左右します。開花から結実の時期に株を元気に保つことが、お盆の萼の揃いにつながります。極端な乾燥と窒素過多に気をつけ、葉数を確保しておきます。

まとめ

ほおずきはナス科の宿根草で、地下茎で増える丈夫な植物です。山形・庄内では雪の下で越冬し、4月に芽出し、6月〜7月に白い花、8月のお盆に橙赤色の萼が楽しめます。

我が家では、母が植えた株が手入れせずにハウスの片隅で残り、毎年お盆に向けて花と萼をつけてくれています。これまで放置していましたが、今シーズンは支柱と最小限の追肥、水切れ防止を意識して、盆花としてしっかり使えるよう管理していきます。

観賞用ほおずきの実や葉は食用には向かない点に注意し、食卓で楽しみたい場合は別の食用ほおずきを選びます。今後は実際の成長記録を写真で随時追加し、本シーズンの管理がどう結果につながったかを残していきます。

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