きゅうりのべと病|長雨で広がる葉裏の角斑と治し方【東北・山形の農家が解説】

きゅうりのべと病対策のサムネイル。葉裏の角斑と長雨の対策の文字と、困ったようすの柴犬ごんじろう 基礎知識
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きゅうりの葉に、葉脈で区切られた角ばった黄色い斑点が出ていたら、べと病の可能性があります。下の葉から始まり、気づいたときには株の上まで枯れ上がることもあります。

べと病が広がるかどうかを分けるのは、雨そのものよりも葉が濡れている時間の長さです。筆者はハウス栽培で、雨を入れまいと扉を締め切ったことがかえって発生を招きました。

この記事で分かること

  • べと病の症状と、よく似たうどんこ病との見分け方
  • 長雨で広がる理由(感染には葉の上の水滴が必要)
  • 雨よけと換気をセットで考える予防
  • うどんこ病とは逆になる肥料の考え方
  • 出てしまったあとの対処と、薬剤の注意点

べと病とは|葉脈で区切られた角ばった斑点が目印

べと病は、糸状菌(カビ)の一種が葉の内部で増える病気です。はじめは境目のはっきりしない淡い黄色の斑点が現れ、やがて葉脈にさえぎられて角ばった形に変わります。

特徴は、斑点が丸く広がらないことです。カビが葉脈を越えられないため、四角や三角に区切られたモザイク状になります。湿度が高いと、その斑点の裏側に灰色から黒色のカビが生えます。これが胞子で、風に乗って周りの葉へ飛びます。

斑点どうしがつながると葉全体が枯れ、葉を失うほど実の太りが止まります。下の図で、感染から広がるまでの流れを確認してください。

べと病が広がる流れ 胞子が葉裏に 飛んでくる 風で運ばれる 葉の水滴の中で 発芽し侵入する 水滴がないと感染しない 角ばった黄斑が 下の葉に出る 葉脈で区切られる 葉裏でカビが 胞子を飛ばす 上の葉へ拡大 感染に必要なのは水滴と20〜25℃前後の気温。葉が乾いていれば侵入できません 出典:島根県農業技術情報/全国農村教育協会の記載をもとに作成
図1:べと病は葉の上の水滴から気孔に侵入する。葉を濡らさないことが最大の予防になる

うどんこ病との見分け方

きゅうりの二大病害であるうどんこ病とべと病は、好む天気も、対処も、肥料の考え方も逆です。取り違えると手当てが空振りになります。下の写真と表で見分けてください。

きゅうりのうどんこ病とべと病の葉を左右に並べて比較した写真。左は葉の表面に白い粉状の斑点が散らばるうどんこ病、右は葉脈で区切られた角ばった黄色の斑点が広がるべと病
写真:左=うどんこ病(葉の表面に白い粉)/右=べと病(葉脈で区切られた角ばった黄斑)
見るところべと病うどんこ病
見た目葉脈で区切られた角ばった黄斑白い粉をふいたような斑点
出る場所下の葉から。葉裏に灰黒色のカビ葉の表面が中心
好む天気長雨・多湿で葉が濡れる晴れ間・乾き気味・寒暖差
好む気温20〜25℃前後20℃前後
肥料切らすと出やすい効かせすぎると出やすい

迷ったら葉の裏を見ます。灰色から黒色のカビが葉裏にあればべと病です。うどんこ病の詳しい対処は、きゅうりのうどんこ病|梅雨の晴れ間に急増する白い粉の治し方にまとめています。

なぜ長雨で増えるのか|感染には葉の上の水滴が必要

べと病の胞子は、葉に付いただけでは何も起きません。葉の上に水滴があってはじめて発芽し、気孔から中へ入ります。感染は15〜28℃で成立し、20〜25℃前後が最も進みやすい範囲です。

つまり、雨が続いて葉が濡れたままの時間が長いほど、感染の機会が増えます。露地では梅雨どきの6〜7月に発生が集中します。うどんこ病が梅雨の晴れ間に増えるのとは、ちょうど裏返しの関係になります。

庄内でアジサイが色づき、朝まで雨が残る頃が境目です。逆に真夏の高温期は、気温が感染の適温を外れるため、いったん落ち着くことが多くなります。

山形・庄内のべと病 発生しやすさの目安 危険度 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 梅雨の6〜7月と、雨の戻る秋口が要注意。真夏は適温を外れて落ち着く。ハウスは通年で注意
図2:山形・庄内でべと病が出やすい時期の目安(長雨の時期に高くなる)

筆者の失敗事例|雨よけのハウスを締め切って発生させた

ハウスできゅうりを栽培していたときのことです。梅雨に入って連日雨が降り続き、雨を中に入れまいとして扉を締め切ったままにしていました。

結果として、ハウスの中は高温多湿になりました。雨は防げていたのに、逃げ場を失った湿気が葉を濡らし、べと病が出ました。雨よけのつもりの行動が、そのまま病気の条件を整えてしまったことになります。

雨よけは「閉じること」ではなく「濡らさないこと」。締め切ったハウスは湿気がこもり、葉が濡れた状態が続きます。施設栽培でべと病が季節を問わず出るのは、この湿気が理由です。雨の日ほど、風下側だけでも開けて空気の逃げ道をつくります。

この失敗以来、雨の日でも扉や側面を少し開けて風を通すようにしています。雨粒が直接当たらない範囲で、湿気だけを抜くという考え方です。

べと病を防ぐ3つの対策

葉を濡らさない(雨よけと換気はセット)

感染に水滴が要る以上、葉を濡らさないことが最も効く対策です。露地では、灌水を株元に落として葉にかけないだけでも違います。水やりは朝のうちに済ませ、日中に葉を乾かします。夕方の灌水は、濡れたまま夜を越すので避けます。

株元をマルチや敷きわらで覆うと、雨の跳ね返りで胞子が下葉に付くのを減らせます。家庭菜園で雨よけを取り入れるなら、側面を巻き上げて換気できる形の小型ハウスなら、雨を防ぎながら湿気を逃がせます。

肥料を切らさない(うどんこ病とは逆)

ここがべと病の分かりにくいところです。べと病は肥料を切らすと発生しやすくなります。株の勢いが落ちると、菌の侵入を許しやすくなるためです。県の農業技術情報でも、肥料切れを起こさない肥培管理が防除法に挙げられています。

一方でうどんこ病は、窒素を効かせすぎて葉がやわらかく茂ったときに増えます。同じきゅうりの二大病害でありながら、肥料の指示が正反対になります。

狙うのは、切らさず・効かせすぎずの中庸です。きゅうりは収穫が始まると養分の消耗が早いので、採り始めたら2〜3週間おきの追肥を目安にします。葉の色が薄く小さくなってきたら肥料切れのサインです。

下葉をかいて、風の通り道をつくる

べと病は下の葉から始まります。地面に近く、雨の跳ね返りを受け、乾きにくいためです。混み合った下葉や古い葉を早めに切除すると、株元の空気が動いて葉が乾きやすくなります。株間を詰めすぎないことも効きます。

切り取った葉は畑の外で処分します。放置すると、そこから胞子が飛び続けます。

出てしまったときの対処

最初に知っておきたいのは、一度角ばった斑点が出た葉は元に戻らないことです。対処の目的は、傷んだ葉を治すことではなく、まだ健全な上の葉を守ることに移ります。

症状の出た葉を切り取って畑の外に出し、そのうえで換気と水やりの時間を見直します。葉の乾き方を変えないかぎり、同じことが繰り返されます

薬剤は「治す」より「まだ出ていない葉を守る」

家庭菜園で使いやすいのは、塩基性硫酸銅を成分とする銅水和剤の「Zボルドー」です。野菜類のべと病に対して500倍・散布で登録があり、使用時期は発病前から発病初期とされています。

この「発病前から発病初期」という記載が重要です。銅剤は葉の表面で菌の侵入を防ぐ予防剤であり、広がりきってから撒いて元に戻す薬ではありません。散布は胞子のできる葉裏までかけるのが基本です。

うどんこ病の薬をそのまま流用しない。うどんこ病で使う炭酸水素カリウム剤(カリグリーン)は、適用がうどんこ病・灰色かび病・さび病などで、べと病には登録がありません。効かないうえ、登録のない使い方になります。薬剤はラベルの適用作物・適用病害・希釈倍率・使用回数を必ず確認してから使ってください。

なお、ウリ科は銅剤で薬害の出ることがあります。高温時や株が弱っているときの散布は避け、まずは少量で試してから広げると安全です。

葉裏までムラなくかけるには、蓄圧式スプレーがあると作業が楽になります。ノズルを上に向けられるロングタイプなら、株の下から葉裏を狙えます。

よくある質問

べと病が出た株のきゅうりは食べられますか?

べと病は葉に出る病気で、実そのものには症状が出ません。収穫した実は食べられます。ただし葉が枯れるほど株の力は落ちるので、実の太りは悪くなります。

下葉を全部取ってしまってよいですか?

症状の出た下葉から順に整理しますが、取りすぎると株が弱ります。弱った株はべと病にかかりやすくなるので逆効果です。実を育てている健全な葉は残し、下葉と古い葉を中心に切除してください。

重曹スプレーはべと病にも効きますか?

重曹はうどんこ病の初期に使われる方法で、べと病に対して同じ効果は期待できません。べと病は葉の内部に入り込むため、表面に働く手当てでは届きにくくなります。換気と水やりの見直しを優先し、必要なら適用のある薬剤を検討してください。

まとめ

  • べと病は葉脈で区切られた角ばった黄斑。葉裏に灰黒色のカビが出る
  • 感染には葉の上の水滴が必要。長雨の6〜7月に集中し、ハウスでは通年出る
  • 雨よけは閉め切ると逆効果。換気とセットで湿気を逃がす
  • 肥料は切らさない。うどんこ病の「効かせすぎに注意」とは逆になる
  • 薬剤は予防が本体。うどんこ病用のカリグリーンはべと病に登録がない

なお、当ブログでは、実際に家庭菜園を続ける中で新しい気づきがあれば、公開済みの記事も随時加筆・更新しています。

そのときどきの畑の様子や試した結果も少しずつ書き加えていきますので、また見に来ていただけたら幸いです。

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