夏の暑さが続く7月ですが、じつはこの時期が、秋から冬にかけて収穫する野菜の種まきスタートです。
とくに6〜7月は、じゃがいもを掘ったあとの畝が空く時期でもあります。今回紹介する5種は、いずれもナス科のじゃがいもとは科が違うため、連作を避けられるじゃがいもの後作としても向いています。
涼しくなってからでは間に合わない野菜も多く、7月から少しずつまいておくと、失敗がぐっと減ります。
ここでは、家庭菜園を始めたばかりの方でも育てやすい秋野菜を5種紹介します。山形・庄内で実際に育てている経験から、まき時と最初のつまずきどころもあわせてお伝えします。
この記事で分かること
- 7月にまける秋野菜5種と、それぞれのまき時
- 初心者でも失敗しにくい理由
- 発芽をそろえる、夏まきの3つのコツ
- 秋野菜の種まきでよくある疑問
7月に種をまくと、なぜ秋野菜がうまくいくのか
秋野菜は「涼しくなる頃に大きく育つ」野菜です。ただし、その手前の暑い時期に、根や葉の土台をつくっておく必要があります。
気温が下がってから種をまくと、生育が寒さに追いつかず、霜が降りる前に収穫までたどり着けないことがあります。庄内では11月ごろに霜が本格化するため、そこから逆算すると、7月から8月の種まきがちょうどよい時期になります。
とはいえ7月上旬はまだ暑さが強く、種類によっては少し早いものもあります。下の表で、それぞれの適期を確認してみてください。

初心者でも育てやすい秋野菜5種+筆者の一押し
いずれも家庭菜園の定番で、特別な設備がなくても育てられる野菜です。まず全体像を早見表で示します。
| 野菜 | 種まき(庄内の目安) | 収穫まで | 育てやすさ |
|---|---|---|---|
| とうもろこし(ゴールドラッシュ)★筆者の一押し | 7月中旬まで | 約85〜90日 | ★★★☆☆ |
| 小松菜 | 7〜9月 | 約30〜40日 | ★★★★★ |
| かぶ(小かぶ) | 7月下旬〜9月 | 約40〜60日 | ★★★★★ |
| つるなしインゲン | 7月中 | 約50〜60日 | ★★★★☆ |
| にんじん | 7月上旬〜8月上旬 | 10〜11月 | ★★★★☆ |
| 大根 | 7月下旬〜8月中旬 | 10〜11月 | ★★★★★ |

筆者の一押し:とうもろこし「ゴールドラッシュ」|朝採りの甘さ
5種に入る前に、私がいちばんおすすめしたい野菜を紹介します。とうもろこしの「ゴールドラッシュ」です。7月にまいて秋に採る。もぎたてを朝のうちにゆでて食べる甘さは、市販品ではまず味わえません。
ただし、庄内でのまき時は7月中旬までが目安です。まき遅れると、霜が来る前に実が入りきりません。受粉を安定させるために2列以上のブロック状に植えること、実が太る時期のハクビシンなど獣害への備えが必要なことから、育てやすさは星3つにしました。5種より手間はかかりますが、味はこの中で一番だと思っています。
植え方や受粉のコツ、獣害対策はとうもろこし「ゴールドラッシュ」の育て方で詳しく紹介しています。
1. 小松菜(コマツナ)|最短で収穫できる葉物
生育がとても速く、まいてから30〜40日ほどで採り始められます。暑さにも比較的強いので、7月からすぐにまける一種です。庄内では9月ごろまで、時期をずらして何度でもまけます。
アブラナ科でモンシロチョウやアブラムシが付きやすいため、種まき直後から防虫ネットをかけておくと安心です。1〜2週間ずつずらしてまくと、長い期間少しずつ収穫できます。
まだ暑さの残る7月まきでは、暑さに強い品種を選ぶと発芽や生育が安定します。
2. かぶ(小かぶ)|葉も根も食べられる
小かぶなら40〜60日ほどで収穫できます。まき時は7月下旬から。間引いた若い葉は浅漬けや味噌汁の具になり、無駄なく使えます。
根がふくらむ野菜ですが、深く耕さなくても育つのが小かぶの利点です。こちらもアブラナ科なので、防虫ネットと、発芽するまで土を乾かさないことがポイントになります。
小かぶは、皮までやわらかく生でも食べられる品種を選ぶと、浅漬けやサラダなど料理の幅が広がります。
3. つるなしインゲン|支柱いらずで手軽
まいてから50〜60日ほどで収穫でき、5種のなかでは早採りできる部類です。つるなし(矮性)種を選べば支柱がほとんどいらず、プランターでも育てられます。7月中にまけば9月ごろの収穫となり、暑さのピークを避けられます。
マメ科なので、アブラナ科やセリ科の4種とは付く虫や連作の相性が異なり、畑の作付けを分散させる意味でも役立ちます。種を水につけすぎると腐りやすいため、まいたあとに水やりをする程度で十分です。
支柱のいらないつるなし種を選べば、プランターでも省スペースで手軽に育てられます。
4. にんじん|7月まきの王道
7月上旬から8月上旬にまき、10〜11月に収穫する秋どりの定番です。発芽さえそろえば、あとはほとんど手がかかりません。
にんじんの種は光を感じて芽を出す好光性で、土を厚くかけると発芽しにくくなります。土は薄くかけ、発芽までは新聞紙や不織布で覆って乾燥を防ぎます。庄内の夏は雨が少ない年もあり、この「発芽まで乾かさない」管理が成否を分けます。育てやすさを星4つにしたのは、この発芽そろえだけ少しコツがいるためです。
にんじんは発芽さえそろえば育てやすいので、家庭菜園向けの育てやすい定番品種から始めると安心です。
5. 大根(だいこん)|秋野菜の主役
直まきが基本で、まき時は7月下旬から8月中旬(早まき用の品種なら7月後半から)。10〜11月に収穫します。間引きをしっかりすると、まっすぐで立派な大根に育ちます。
根が二股に分かれるのを防ぐため、石や固まった未熟な堆肥を取り除き、深めに耕しておくと形よく育ちます。なお7月上旬時点ではまだ少し早いので、大根だけは、あと2〜3週間ほど待ってからまくのが無難です。
プランターや初めての方には、短く育つミニ大根が扱いやすく、深く耕せない場所でも二股になりにくいのが利点です。
種まき前の土づくり
どの野菜も、まく前の土づくりで育ちが大きく変わります。とくに根菜は、土の状態がそのまま形にあらわれます。準備はまく2週間ほど前から始めると安心です。
まく2週間前に酸度を整える
小松菜・かぶ・大根などのアブラナ科や根菜は、弱酸性から中性(pH6.0〜6.5が目安)を好みます。雨の多い日本の畑は酸性に傾きやすいため、まく2週間ほど前に苦土石灰をまき、よく耕してなじませておきます。土の酸度の測り方や石灰の使い方は、土壌酸度(pH)の記事にまとめています。
畑の酸度がよく分からないときは、土に挿すだけで測れる簡易的な酸度計があると、石灰の量の見当をつけやすくなります。電池のいらない差し込み式が手軽です。
元肥は控えめに、根菜は深く耕す
石灰をまいた1週間ほど後に、完熟堆肥と少量の化成肥料を入れて、もう一度耕します。葉物は肥料が多すぎると軟弱に育ち、虫も付きやすくなるため、控えめが無難です。大根・にんじん・かぶといった根菜は、石や固まった未熟な堆肥が残っていると根が二股になりやすいので、深めに耕して取り除いておきます。
根菜づくりでは、土を深くやわらかく耕しておくほど、根がまっすぐ伸びやすくなります。広い面積や固くなった土を耕すなら、小型の耕運機があると土おこしの負担を減らせます。
じゃがいものあとにこの5種をまくのは、科が違うため連作障害を避けやすい組み合わせです。前にその場所で何を育てたかも、あわせて思い出しておくと安心です。
秋野菜の種まきを成功させる3つのコツ
コツ1:発芽まで土を乾かさない
夏まきで最大の敵は乾燥です。日中の水やりは土の温度を上げてしまうので、朝か夕方に与えるのが基本です。にんじんや大根のように発芽までに日数のかかる野菜は、芽が出そろうまで不織布や新聞紙で覆い、土の表面を乾かさないようにします。
コツ2:アブラナ科は最初から防虫ネットをかける
小松菜・かぶ・大根はアブラナ科で、この時期はモンシロチョウの幼虫やアブラムシが付きやすい野菜です。芽が出てからでは食害が始まっていることも多いため、種をまいた直後からネットをかけておくのが確実です。ネットの選び方や張り方は、こちらの記事で詳しく紹介しています。
防虫ネットは目合い(網目の細かさ)で防げる虫が変わります。アブラムシまで防ぎたい場合は0.8mm以下の細かいものを選ぶと安心です。
コツ3:間引きは思い切っておこなう
もったいないと感じても、間引きは大切な作業です。株が込み合うと、ひょろひょろに徒長したり、根や葉が小さいまま止まったりします。葉が触れ合う前に間引き、風通しをよくすると、一株一株が大きく育ちます。間引いた菜は、小松菜もかぶも食べられます。

7月の作業は蚊よけ対策も忘れずに
忘れがちですが、7月の畑仕事では蚊よけ対策も欠かせません。種まきや水やりで屈み込む時間が長いと、腕や首まわりを刺されやすくなります。
私は作業中、防虫ネット素材のパーカーを着ています。頭からすっぽりかぶって顔まわりまで守れるので、蚊の多い朝夕でも、種まきや苗の世話に集中できます。
筆者の育て方|ポットで育苗して丈夫な苗を移植する
ここまでは畑に直接まく方法を中心に紹介しましたが、私自身は、種をポット(またはセルトレイ)にまいて苗を育て、丈夫に育ってから畑に移植する方法をよく使っています。
育苗には次のような利点があります。水やりや日よけをまとめて管理でき、発芽がそろいやすいこと。双葉のころに多い鳥(庄内では田んぼに隣接した畑のムクドリやスズメ)や虫の食害、夏の乾燥を避けられること。畑の準備を待つあいだに苗を進められ、元気な苗だけを選んで植えられることです。
ポット育苗に向く野菜・向かない野菜
この方法と相性がよいのは、移植に強い小松菜とつるなしインゲンです。一方で大根とにんじんは、直根が傷むと又根(二股)になりやすいため、私は畑に直まきしています。かぶは移植もできますが、根が乱れないよう、本葉2〜3枚の若いうちに植えるようにしています。
大根・にんじんのように根そのものを食べる野菜は、育苗より直まきが基本です。ポットで育ててから移植すると、根が分かれて形がいびつになることがあります。
失敗しにくい育苗のコツ
1つのポットに数粒まき、発芽したら元気な1本を残して間引きます。本葉が2〜3枚そろったころが植えどきです。移植のときは根鉢をくずさないようにそっと抜き、夕方に植えてたっぷり水をやると、根づきがよくなります。
育苗には、たくさんの苗を同時に育てられるセルトレイや育苗ポットがあると便利です。通気性のよいトレイは、根の張った丈夫な苗をそろえやすくなります。
よくある質問
7月の種まきは暑すぎませんか?
日中は暑いですが、夕方にまいて発芽まで日よけをすれば十分に芽は出ます。むしろ涼しくなってからでは間に合わない野菜が多いので、7月から少しずつ始めるほうが失敗は減ります。
プランターでも育てられますか?
小松菜・かぶ・つるなしインゲンはプランター向きです。にんじんと大根は根が下に伸びるため、深型のプランターを使うか、大根は短めの品種を選ぶと育てやすくなります。
一度にまいたほうがいいですか?
小松菜とかぶは、1〜2週間ずつずらしてまくと収穫が途切れず長く楽しめます。にんじんと大根はまき時の幅が狭いので、適期を逃さないうちにまくことをおすすめします。
虫の対策は何をすればいいですか?
アブラナ科の小松菜・かぶ・大根は、種まき直後からの防虫ネットが基本です。付いてしまったアブラムシへの対処は、無農薬でできる方法を別の記事にまとめています。
まとめ
- 秋野菜は7月から種まきを始めると、霜までに余裕をもって収穫できる
- 初心者でも育てやすいのは、小松菜・かぶ・つるなしインゲン・にんじん・大根の5種
- 筆者の一押しはとうもろこし「ゴールドラッシュ」。7月中旬までにまけば、10月に朝採りの甘さを楽しめる
- 小松菜・かぶ・インゲンは今すぐまける。大根は7月下旬からが無難
- 成功のコツは「発芽まで乾かさない」「防虫ネット」「間引き」の3つ
- 小松菜・インゲンはポットで育苗して移植も可。大根・にんじんは直まきが基本(又根を防ぐ)
なお、当ブログでは、実際に家庭菜園を続ける中で新しい気づきがあれば、公開済みの記事も随時加筆・更新しています。
そのときどきの畑の様子や試した結果も少しずつ書き加えていきますので、また見に来ていただけたら幸いです。


