
長ねぎの白く長い部分は、生長に合わせて株元へ土を寄せ、光を遮ることで作られます。
この「土寄せ」の進め方ひとつで、収穫したねぎの太さや白さ、仕上がりが大きく変わります。
ただし、土寄せの時期には注意が必要です。
真夏に深く土を寄せると、株元が蒸れやすくなり、軟腐病が発生して、ねぎが溶けるように腐ってしまうことがあります。
筆者は2026年5月に、長ねぎの苗を100本植え付けました。
この記事では、植え付けから収穫までの栽培手順と、失敗しにくい「土寄せの時期の見極め方」を、実際の栽培経験をもとに整理していきます。
この記事で分かること
- 長ねぎ(根深ねぎ)の白い部分が土寄せで作られる仕組み
- 良い苗の見分け方と、溝植えの手順
- 土寄せの回数とタイミング(山形・庄内の目安)
- 真夏の土寄せで軟腐病・蒸れを防ぐための注意点
- 収穫の見極めと保存方法
長ねぎ(根深ねぎ)の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 科目 | ヒガンバナ科ネギ属 |
| 種類 | 根深ねぎ(長ねぎ・白ねぎ・一本ねぎ) |
| 生育適温 | 15〜25℃(耐寒性が強く霜・雪にも耐える) |
| 好適土壌pH | 6.0〜6.5(酸性土を嫌う) |
| 連作障害 | 出にくいが1〜2年あけると安心 |
| 栽培スタート | 苗の植え付けが手軽(種まきも可) |
| 収穫の目安 | 11月〜翌3月(秋冬どり) |
ねぎは酸性に傾いた土を嫌い、pH 6.0〜6.5の土壌を好みます。庭の土を使うときや同じ場所で繰り返し育てるときは、酸度を実測してから石灰の量を決めると安心です。筆者は電池不要で土に挿すだけのシンワ測定 土壌酸度計A 72724を使っています。
ねぎの種類|根深ねぎと葉ねぎの違い
ねぎは呼び名が多く分かりにくいですが、大きくは白い部分を食べる「根深ねぎ」と、緑の葉を食べる「葉ねぎ」の2つに分けられます。
| 種類 | 主な別名 | 食べる部分 | 育て方の特徴 |
|---|---|---|---|
| 根深ねぎ | 長ねぎ・白ねぎ・一本ねぎ | 白い部分(軟白部) | 溝植えと土寄せで白い部分を長く伸ばす |
| 葉ねぎ | 青ねぎ・小ねぎ | 緑の葉 | 土寄せはせず、葉をやわらかく育てる |
「長ねぎ」「白ねぎ」「一本ねぎ」は、いずれも根深ねぎの別名で、同じタイプのねぎを指します。この記事で扱うのも根深ねぎです。葉ねぎは土寄せが不要で、育て方が異なります。
ねぎの原産地|中央アジアの乾いた土地
ねぎは雨の少ない乾いた土地で生まれた野菜で、過湿に弱く、寒さには強いという性質を持ちます。下の図で、原産地と栽培に関わる2つの特徴を確認してください。

そのため栽培では、水はけの良い土を選び、畝を高くして雨水をためないことが基本です。高温多湿の真夏が苦手なことは、後で述べる土寄せの注意点にも関わります。
良い苗の見分け方
筆者は種から苗を育てようとしましたが、しっかりと育たず、2回続けて失敗しました。そのため、今回は苗を購入しています。苗づくりは難しく、今後の課題です。
春にホームセンターや種苗店に並ぶ長ねぎの苗は、次の点を確認して選びます。
| チェック項目 | 良い苗 | 避けたい苗 |
|---|---|---|
| 葉の色 | 濃い緑でしっかり立つ | 黄ばむ/先が枯れている |
| 太さ | 鉛筆の芯ほどの太さでそろう | 細く頼りない/ひょろ長い |
| 根元 | 白い部分が締まっている | 傷み・変色がある |
| 全体 | 適度な乾き具合で扱いやすい | 蒸れて湿っぽい/異臭がある |
先端がカットされている苗でも問題ありません。

📍 山形以外の地域にお住まいの方へ
全国の野菜栽培カレンダーで、お住まいの都道府県のねぎの栽培時期をかんたんに調べられます。
山形・庄内の栽培カレンダー
ねぎは寒さに強く、雪国の庄内でも秋から冬の収穫に向きます。下の図で植え付けから収穫までの時期を確認してください。
苗の植え付けは春(5〜6月)が中心で、庄内では田植えが一段落する頃が目安になります。
長ねぎの育て方|植え付けから収穫までの5ステップ

STEP1 溝を掘る
根深ねぎは溝植えで育てます。日当たりと水はけの良い場所に、幅15cm・深さ15〜20cmほどの溝を掘り、掘り上げた土は両側に寄せておきます。この土を後の土寄せに使います。

STEP2 苗を植える|株間10cm
筆者は株間10cmで植えました。土は根が隠れる程度に薄くかけ、葉の分かれ目(生長点)を埋めないようにします。

STEP3 植え付け後の水やり
植え付け直後は軽く灌水し、土と根をなじませます。活着した後は乾燥に強いため、灌水は控えめにします。過湿は根を傷めます。
STEP4 土寄せと追肥
苗が活着して立ち上がってきたら、生長に合わせて数回に分けて土寄せを行い、溝を少しずつ埋めます。追肥は土寄せとセットで、化成肥料を月1回ほど施します。生長点を埋めると生育が止まるため、寄せすぎないようにします。土寄せの時期と深さは、次の章で詳しく解説します。
STEP5 収穫|霜が降りる頃から
長ねぎは、霜が降り始める11月頃から収穫できます。
株元にスコップを入れて土をゆるめ、葉を持ってゆっくり引き抜きます。
ねぎは寒さに当たることで糖分を蓄えるため、霜に当たるほど甘みが増していきます。
そのため、一度に全部収穫せず、必要な分だけ順に掘り上げる方法もおすすめです。
山形・庄内のような雪国では、雪の下で寒さに耐えたねぎはさらに甘みが増します。
筆者の畑でも、冬を越したねぎは驚くほど柔らかく甘くなり、翌年3月頃までおいしく収穫できます。

真夏の土寄せでねぎが溶ける|土寄せの時期と深さの注意点
土寄せは、根深ねぎ栽培の中心となる重要な作業です。
しかし、時期を誤ると逆効果になることがあります。特に注意したいのが、真夏の土寄せです。
高温期に深く土を寄せると、ねぎが溶けるように腐ってしまうことがあります。
7月下旬から8月頃は気温が高く、ねぎ自体も暑さで生育が鈍り、弱りやすい時期です。
その状態で深く土寄せを行うと、株元が蒸れて風通しが悪くなり、軟腐病などの細菌が繁殖しやすくなります。すると、株元から軟らかく腐敗してしまいます。
この真夏の土寄せの注意点は、近所のおばあさんから教わったことです。長年この土地でねぎを育ててきた方ならではの助言で、インターネットの情報だけでは得られない、経験に裏打ちされた知恵だと感じています。地元の方から直接うかがえる話は、とてもありがたいものです。
真夏に土寄せを行う場合は、浅く軽めにとどめ、株元の風通しを確保することが大切です。
白い部分をしっかり伸ばす本格的な土寄せは、気温が下がり始める9月以降に行うと失敗しにくくなります。
また、雨が続いた直後の土寄せも、土が過湿になりやすいため避けるようにします。
| 回数 | 時期の目安 | 寄せる高さ | ねらい |
|---|---|---|---|
| 1回目 | 6月下旬〜7月上旬 | 約5cm | 株を安定させる |
| 2回目 | 真夏(高温期) | 浅く・控えめ | 蒸れ防止を優先し無理に寄せない |
| 3回目 | 9月 | 約10cm | 涼しくなってから本格化 |
| 仕上げ | 10月(収穫3〜4週間前) | 分かれ目の手前まで | 白い部分を伸ばす |
ねぎの主な病害虫
ねぎは比較的丈夫ですが、高温多湿の時期に病害虫が発生します。早めの対処が大切です。
| 名称 | 症状 | 対策 |
|---|---|---|
| 軟腐病 | 株元が軟らかく腐り、独特の臭いを放つ | 水はけを良くし、高温期の深い土寄せを避ける。発病株は抜き取る |
| さび病 | 葉に黄〜橙色の小さな斑点が点々とつく | 風通しを良くし、発病した葉は早めに取り除く |
| ネギアザミウマ | 葉の表面が白くかすれたようになる | 乾燥した時期に増える。見つけ次第対処する |
収穫したねぎの保存方法
収穫した長ねぎは、新聞紙に包んで冷暗所に立てて置くと日持ちします。寒い時期は畑に植えたまま必要な分だけ掘り上げる方法も実用的で、土の中が冬の貯蔵庫になります。使い切れない分は小口切りにして冷凍します。
おすすめのコンパニオンプランツ
ねぎは根の微生物が他の野菜の病気を抑えるとされ、コンパニオンプランツとして使われます。ねぎと相性の良い組み合わせです。
| 一緒に植える植物 | 期待できる効果 |
|---|---|
| にんじん | 互いの害虫を遠ざけ合う。古くからの組み合わせ |
| マリーゴールド | 根に被害を与えるセンチュウの密度を抑える |
⚠ 枝豆や落花生などのマメ科とは相性が良くありません。生育を抑え合うため、近くに植えるのは避けます。
🌿 もっと詳しく知りたい方へ
コンパニオンプランツの仕組み・他の組み合わせ・庄内での実践例をまとめています。
よくある質問(FAQ)
苗からと種からはどちらが育てやすいですか?
家庭菜園では苗からの植え付けが手軽です。種まきは植え付けまで数か月かかり、間引きの手間も増えます。本数を多く育てたい場合は種まきが向きます。
土寄せをしないとどうなりますか?
白い部分がほとんど伸びず、葉ねぎのような姿になります。根深ねぎの持ち味は白く長い軟白部にあるため、土寄せは欠かせません。
葉先が枯れてきました。収穫できますか?
外側の葉先が多少枯れても、白い部分が育っていれば収穫できます。葉全体が広く枯れる場合は、病気や根の傷みも疑い、株元の状態を確認します。
まとめ|土寄せの時期を見極めて白い部分を伸ばす
- 根深ねぎの白い部分は、土を寄せて光を遮ることで作る
- 溝植えにし、最初は土を薄くかけて生長点を埋めない
- 土寄せは数回に分け、追肥とセットで進める
- 真夏の深い土寄せは株元が蒸れ、軟腐病でねぎが溶ける原因になる
- 本格的な土寄せは、涼しくなる9月以降に行う
- 収穫は11月頃から翌3月まで。雪の下で越冬したねぎは甘みがさらに増す
- 長く穫れて寒さに強く、家庭菜園に欠かせない野菜

