1キロ先の山間にある親戚の畑では、毎年シカの食害に悩まされています。我が家ではまだ被害はありませんが、近年はクマやイノシシ、シカといった害獣の被害が増え続けています。
シカは一度味を覚えると群れで通うようになり、畑の野菜が一気に食べ尽くされることもあります。「被害が出てからでは遅い」ので、今年から備えることにしました。
この記事では、シカから畑を守るための対策グッズを、「柵」「忌避」「設置のコツ」に分けて、家庭菜園でも実践しやすい方法を紹介します。
シカ被害の特徴|2mを飛び越える跳躍力
シカによる農作物の被害額は全国で年間およそ56億円と、野生鳥獣の中で最も多くなっています。葉や新芽、野菜を広く食べ、群れで現れるため被害が大きくなりがちです。
対策で必ず押さえたいのが、シカは跳躍力が非常に高いという習性です。助走なしでも150cm、条件によっては2mを優に飛び越えます。イノシシのように「掘る」よりも、「飛び越える・くぐり抜ける」のがシカの侵入パターンです。
やっかいなのは、高さだけでは防ぎきれない点です。シカは地際のわずかな隙間(高さ27cmほど)もくぐり抜けます。つまり、「高さで越えさせない」と「下の隙間でくぐらせない」を両立させることが、シカ対策の最大のポイントになります。
対策グッズ早見表
これから紹介するグッズを、役割ごとにまとめました。まず柵で高さと隙間の両方を防ぎ、忌避で補うのが基本の流れです。
| グッズ | 役割 | こんな人に | 価格帯の目安 |
|---|---|---|---|
| 防鹿ネット(高さ2m) | 飛び越えを防ぐ(手軽) | まず手早く囲いたい人 | 2,000〜6,000円 |
| ソーラー式電気柵 | 触れさせて撃退(本命) | 畑をしっかり守りたい人 | 15,000〜40,000円 |
| 金属フェンス・ワイヤーメッシュ | 頑丈に物理的に防ぐ | 長く使える柵がほしい人 | 500〜2,000円/枚 |
| シカ用忌避剤 | 匂いで寄せ付けない(補助) | 柵と併用したい人 | 1,500〜4,000円 |
| センサー式撃退器 | 光・音で追い払う(補助) | 柵まではまだ、という人 | 2,000〜6,000円 |
| 小型ビニールハウス | 覆って守る・作物を見せない(補助) | 苗や小面積の野菜を守りたい人 | 13,000〜25,000円 |
① 柵で防ぐ(高さが命)
シカ対策で最も効果が高いのは柵です。ポイントは高さで、通常の柵なら1.5〜2m、電気柵なら1.5mほどの支柱に線を多段で張るのが目安です。あわせて、下の隙間をくぐられないようにします。
防鹿ネット(高さ2m以上)
防鹿ネットは、軽くて手早く張れる物理柵です。シカの跳躍に対しては高さ2m以上を目安にします。支柱にたるみなく張り、地際もペグでしっかり留めて隙間をなくすのがコツです。たるんでいると、よじ登られたり押し込まれたりします。
ソーラー式の電気柵
電気柵は、線に触れた瞬間の電気ショックで「ここは危ない」と学習させる柵です。シカには1.5mほどの高さに線を4段ほど多段張りし、鼻先が触れる高さに通すのがコツです。ソーラー式なら電源・配線不要で、山際の畑でも設置できます。イノシシと共通で使えるのも利点です。
金属フェンス・ワイヤーメッシュ
頑丈さと耐久性で選ぶなら、金属フェンスやワイヤーメッシュです。シカ向けには背の高いタイプを選び、支柱をしっかり固定します。地際に隙間ができないよう据え付け、必要なら下部にネットを足してくぐり抜けを防ぎます。
小型のビニールハウスで覆って守る
育苗中の苗や小さな葉物野菜なら、小型のビニールハウスで覆って育てるのも一つの方法です。シカが好む葉や新芽を直接かじられにくくなり、露地から作物が見えにくくなる効果もあります。ただし、ビニールは頑丈ではないため、単独では過信せず、柵や忌避と組み合わせる前提で、育てる場所ごと守る選択肢として考えます。
② 寄せ付けない(柵の補助)
柵まで手が回らない場合や、柵とあわせて使う補助として、忌避剤や撃退器があります。シカは慣れてしまうこともあるため、これらは単独の決め手ではなく、柵と組み合わせる前提で考えます。
シカ用の忌避剤
シカが嫌う匂いを利用した忌避剤です。畑の周囲や侵入してきそうな場所に置いて、近づきにくい環境をつくります。雨で流れたり効き目が薄れたりするため、定期的な交換が前提です。設置場所を時々変えると、慣れにくくなります。
センサー式の撃退器
動くものに反応して、光の点滅や音でシカを追い払うタイプです。警戒心の強いシカには、突然の光や音が効くことがあります。ソーラー式・防水のものなら、畑の隅に置いておけます。こちらも慣れる個体がいるため、柵と併用し、設置場所を時々変えると効果が続きやすくなります。
設置で失敗しないための注意点
シカの柵は「立てれば安心」ではなく、跳躍力とくぐり抜けを前提に設置して初めて効きます。次の点を押さえます。
- 高さは2mを目安に:低い柵は助走なしでも飛び越えられます。電気柵なら多段で「触れさせる」のが鍵です
- 下の隙間をなくす:地際27cmほどの隙間でもくぐり抜けます。裾をペグやアンカーで留めます
- たるみ・たわみを作らない:ネットや線がたるむと、よじ登りや押し込みで突破されます
- 柵際の草を刈る:電気柵は雑草が触れると漏電します。藪はシカの隠れ場所にもなります
柵際の草刈りに使う道具の選び方は、家庭菜園の草刈り機の選び方で詳しく解説しています。
まとめ
畑をシカから守る3つの柱
- 柵で防ぐ(高さ2m+下の隙間対策。電気柵は多段で触れさせる)
- 忌避で補う(忌避剤・撃退器。柵と併用が前提)
- 設置のコツ(たるませない・隙間をなくす・柵際の草刈り)
シカは跳躍力が高く、群れで繰り返し現れる相手です。だからこそ、高さのある柵を中心に据え、下の隙間対策と忌避を重ねるのが現実的です。被害が出てからでは遅いので、害獣被害が増えている今のうちに、できるところから備えていきます。
出典・参考:農林水産省「全国の野生鳥獣による農作物被害状況」/各自治体・林業研究機関のシカ防護柵資料


