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トマトのつる下ろし|摘心した後でも脇芽で復活?支柱栽培でのやり方【家庭菜園】

「摘心した後でもまだ伸ばせる トマトのつる下ろしのやり方」のアイキャッチ。つる下ろし後のトマトの株を柴犬のごんちゃんが見上げているイラスト トマト

ハウスで育てている中玉トマト「フルティカ」が、ついに支柱の先まで伸びました。しかも上の段では、まだ花が咲き続けています。このタイミングで株を止めてしまうのは、少しもったいない気がします。

そんなときに役立つのが、株全体を少しずつ下へ下げながら栽培を続ける「つる下ろし」です。

この記事では、家庭菜園でも取り入れやすい支柱と誘引紐だけでできる「つる下ろし」のやり方と、摘心したあとに脇芽を利用して栽培を続ける方法を、図解を交えながら分かりやすく解説します。

この記事で分かること

  • つる下ろしの仕組みと本当の目的
  • 摘心とつる下ろしの使い分け(比較表)
  • 支柱+誘引紐の畑でのやり方4ステップ
  • 摘心した後から脇芽で主枝を更新する方法
  • 山形・庄内で秋どりを狙える現実的なライン

つる下ろしとは|株を下げて長く収穫する管理方法

つる下ろしとは、収穫が終わった下の茎を株元でゆるく寝かせ、株全体を少しずつ下げながら、生長点(茎の先端)を作業しやすい高さに戻す管理方法です。トマトは本来つる性植物ではありませんが、茎を下へ下ろして栽培する様子から「つる下ろし」と呼ばれるようになりました。

トマトは摘心しない限り、花房を付けながら次々と伸び続けます。そのまま放任すると草丈は2mを超え、収穫や脇芽かきのたびに脚立が必要になることもあります。

つる下ろしを行えば、生長点をいつも手の届く高さに保てるため、日々の管理が楽になります。さらに、株の生育を止めることなく栽培を続けられるので、収穫期間を秋まで長く延ばせるのも大きなメリットです。

トマトのつる下ろしの前後比較図。左は生長点が支柱の上まで伸びて手が届かない状態、右はつる下ろし後で余った茎を株元でゆるく寝かせ、先端が手の届く高さに下がった状態。農家の人物とトマトの株のイラストで示す
図1:つる下ろしの前後比較。株全体を下げて余った茎を株元で寝かせ、生長点を作業しやすい高さへ戻す。

摘心とつる下ろし、どちらを選ぶか

伸び続けるトマトの管理には、大きく2つの方針があります。どちらか一方を選ぶことになるため、先に違いを整理します。

項目摘心つる下ろし
やること5〜6段の上で先端を切る切らずに株を下げ続ける
手間少ない(1回切るだけ)多い(伸びるたびに作業)
収穫期間夏が中心秋まで延ばせる
向く人・環境週末菜園・露地の支柱栽培毎日通える畑・ハウス栽培

タキイ種苗の公式情報でも、フルティカは草勢が強く、吸肥力が持続するため、長期栽培に適した品種とされています。そのため、つる下ろしを行いながら長く収穫を続ける栽培にも向いています。

わが家のハウスでは、今回が初めてのフルティカ栽培だったため、管理しやすさを優先して5〜6段で摘心しました。

しかし、摘心したあとになって「まだ株を伸ばせたのではないか」と感じるようになりました。

その疑問を解決してくれたのが、摘心後に脇芽を伸ばして新しい主枝として育てる「脇芽更新」という方法です。この記事の後半で、そのやり方についても紹介します。

「栄養が届きやすくなる」は誤解

つる下ろしについては、「株を低くすると栄養が先端まで届きやすくなる」と説明されることがあります。しかし、水や養分は根から茎の中の維管束を通って先端まで運ばれるため、株が高くなったこと自体が原因で栄養が届かなくなるわけではありません

つる下ろしの本当の目的は、株を健康に保ちながら管理しやすくすることです。

つる下ろしの主な目的
・生長点を手の届く高さに保ち、管理しやすくする
・葉全体に日光を当てて光合成を促す
・風通しを良くし、病気の発生を抑える
・株を長く育て、収穫期間を延ばす

大切なのは、「背が高いから実が付かない」のではなく、背が高くなりすぎると収穫や誘引、脇芽かきなどの日常管理が難しくなるという点です。

つる下ろしは、株の生育を止めることなく、最後まで管理しやすい状態を維持するための栽培技術なのです。

つる下ろしを始めるタイミング

目安は次の3つがそろった頃です。

  • 下の2〜3段の収穫が終わった
  • 株の高さがおよそ2mになり、生長点が支柱の先に届いた
  • 収穫や脇芽かきで、腕を上げ続ける作業がつらくなった

庄内のハウスで4月上旬に種をまいた場合、初収穫が7月中旬ごろになるため、つる下ろしの適期は7月下旬から8月が中心です。田んぼで稲の出穂を見かける時期と重なります。

筆者はハウスの中玉トマト「フルティカ」で実践しています。品種ごとの栽培手順や失敗例は、フルティカ栽培マニュアルにまとめています。

支柱と誘引紐でのやり方4ステップ

専用の誘引フックを使う方法が一般的ですが、家庭菜園で多い支柱+誘引紐の畑でも、手順を守ればつる下ろしはできます。全体の流れは次のとおりです。

トマトのつる下ろしのやり方4ステップの手順図。1収穫済みの下葉と房を整理、2誘引紐を少しずつ外す、3株全体を20〜30cm下ろす、4先端を上向きに誘引し直す。支柱とトマトの株のイラストで各作業を示す
図2:支柱+誘引紐でのつる下ろし4ステップ。伸びるたびに同じ作業を繰り返す。

STEP1 収穫が終わった下葉と房を整理する

収穫済みの房より下に残っている葉を摘除します。実を採り終えた房の軸も、このタイミングで一緒に切り取ります。一度に取るのは1回あたり2〜3枚までとし、数日に分けて進めます。葉を一気に減らすと株の勢いが落ちます。

STEP2 誘引紐を少しずつ外す

茎を支柱に留めている紐を、下の段から順にほどきます。急にすべて外すと株が自分の重さで倒れ、茎が折れることがあります。片手で株を支えながら、1本ずつ外します。

STEP3 株全体を20〜30cm下ろす

株をゆっくり下げ、余った茎は株元で緩やかなカーブを描くように寝かせます。1回に下ろす幅は20〜30cmまで。鋭角に曲げると茎が折れるため、大きな弧を意識します。寝かせた茎が土に直接触れないよう、株元には稲わらなどを敷いておくと安心です。

STEP4 生長点を上向きに誘引し直す

下げた株の先端を、支柱に沿わせて上向きに留め直します。先端さえ上を向いていれば、株はまた伸び始め、新しい花房を付けます。以後、伸びるたびに同じ作業を繰り返します。

作業は晴れた日の午前中に行います。雨の日や夕方は茎の水分が多くて折れやすく、傷口から病気も入りやすくなります。失敗の多くはSTEP3の「曲げ」で起きるため、ここだけは特に慎重に進めてください。

そして7月22日、わが家のフルティカでも実際につる下ろしを行いました。茎を株元で寝かせて株全体を下げると、実がちょうど採りやすい高さに変わりました。作業後の様子は30秒の動画にまとめています。

▲ 7月22日に実施したつる下ろし。株元で寝かせた茎と、採りやすい高さになった実のようす(約30秒)

摘心した後でも間に合う|脇芽更新のやり方

「もう摘心してしまった…」という場合でも、諦める必要はありません。

摘心した切り口の近くからは、新しい脇芽が勢いよく伸びてきます。その中から勢いの良い脇芽を1本だけ残し、新しい主枝として育てる「脇芽更新」という方法があります。

この脇芽が主枝として成長すれば、再び花房を付けながら伸び続け、収穫期間をさらに延ばすことができます。

わが家のフルティカも、5〜6段で摘心したあとに、先端近くから複数の脇芽が伸びてきました。現在は、その中でも最も勢いのある1本を残し、新しい主枝として育てることに挑戦しています。

摘心した中玉トマト「フルティカ」の先端近くから立ち上がった脇芽。支柱に沿って新しい主枝として伸び始めている。山形県庄内のハウスで2026年7月22日・播種後108日目に撮影
写真:2026年7月22日・播種後108日目。摘心した株の先端近くから立ち上がった脇芽。この1本を新しい主枝として育てている。

順調に生育すれば、この脇芽が新しい主枝となり、再びつる下ろしを行いながら長く収穫できる見込みです。今後の生育状況については、この記事にも随時追記していきます。

脇芽更新を成功させるポイント

  • 残す脇芽は1本だけにする(複数残すと養分が分散し、生育が鈍りやすい)
  • 下段の収穫と新しい主枝の生長が同時に進むため、2週間に1回を目安に追肥を続ける
  • 新しい主枝から発生する脇芽も、これまでどおり早めに摘み取る

山形・庄内で秋どりはいつまで狙えるか

つる下ろしで収穫期間を延ばす場合、東北では秋の気温を考えて管理することが大切です。

トマトは開花してから収穫まで、真夏なら約40日、気温が下がる秋は50〜60日ほどかかります。涼しくなるほど果実の成熟が遅くなるためです。

庄内地方の無加温ハウスでは、10月に入ると夜間の気温が15℃を下回る日が増え、果実の色付きは大きく鈍ります。そのため、10月に収穫を目指すなら、8月中に咲いた花房がおおよその目安になります。

一方、9月以降に咲いた花房は、気温の低下によって収穫までたどり着けないことも少なくありません。そのような花房は無理に残さず摘み取ることで、すでに育っている果実へ養分を集中させることができます。

なお、秋になっても実がなかなか赤くならない場合は、トマトが赤くならない5つの原因と対策の記事で、原因と対処法を詳しく解説しています。

よくある質問

ミニトマトでもつる下ろしはできますか?

できます。ミニトマトは中玉より花房の段数が多く付くため、つる下ろしの効果はむしろ大きくなります。筆者が育てている皮の薄いミニトマト「CFプチぷよⅡ」については、ミニトマトの育て方で紹介しています。

手間をかけられません。摘心とどちらが向いていますか?

週末だけしか畑に来られない場合は、5〜6段で摘心する方法がおすすめです。

つる下ろしは、収穫が終わった下葉の整理や、誘引紐の掛け直しなどの作業を定期的に行う必要があります。そのため、管理の手間は摘心栽培よりも増えます。

一方、毎日ハウスの様子を確認できる環境であれば、つる下ろしを取り入れることで収穫期間を延ばし、長く収穫を楽しめます。

栽培方法は、「どちらが優れているか」ではなく、自分が管理できる頻度に合わせて選ぶことが大切です。

寝かせた茎から根が出てきました。問題ありませんか?

つる下ろしをすると、寝かせた茎が湿った土の近くを通るため、節から白い根(不定根)が出ることがあります。これはトマトが本来持っている性質で、株の異常ではありません。

ただし、茎が土に直接触れたままになると、病原菌が侵入しやすくなり、病気の原因になることがあります。

そのため、寝かせた茎の下には稲わらや敷きわらなどを敷き、茎が土に直接触れないように浮かせて管理すると安心です。

まとめ|つる下ろしの要点

  • つる下ろしは、株全体を下げて生長点を手の届く高さに保ち、収穫期間を秋まで延ばす管理方法
  • 摘心(手間が少なく夏中心)とつる下ろし(手間は増えるが秋まで収穫)は、畑に通える頻度で選ぶ
  • 支柱+誘引紐の畑でも可能。1回に下ろすのは20〜30cmまで、茎は大きな弧でゆるく寝かせる
  • 摘心した後でも、切り口近くの脇芽を1本だけ残す「脇芽更新」で主枝を復活させられる
  • 庄内の無加温ハウスでは、8月中に咲いた花房までが秋どりのおおよその目安

フルティカは草勢が強く、長期栽培に向いた品種です。摘心で手堅くまとめるか、つる下ろしで秋まで収穫を続けるか。ご自身が畑に通える頻度に合わせて選んでみてください。

なお、当ブログでは、実際に家庭菜園を続ける中で新しい気づきがあれば、公開済みの記事も随時加筆・更新しています。

そのときどきの畑の様子や試した結果も少しずつ書き加えていきますので、また見に来ていただけたら幸いです。

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