中玉トマトの「フルティカ」は、甘みが強くて食べやすい品種です。ただ、体にどう良いのかまでは、あまり知られていません。
実はフルティカは、リコピンを多く含む品種として育成された中玉トマトです。フルティカを使った生鮮トマトが、機能性表示食品として届け出られた例もあります。
この記事では、種苗会社と国が公開している数値だけを使います。フルティカの栄養と、成分ごとに報告されている効果を整理します。
この記事で分かること
- フルティカのリコピン含量と、従来品種との差
- トマトに含まれる主な栄養素の数値
- フルティカが機能性表示食品に採用された実例
- リコピンを効率よくとる食べ方
- 食べるときに気をつけたい点
フルティカはリコピンを多く含む品種として育成された
タキイ種苗は、体に役立つ成分を多く含む野菜を「ファイトリッチ」というシリーズで開発しています。フルティカは、その中でリコピンに着目して選ばれた中玉トマトです。
リコピンは、トマトの赤い色をつくっている色素の成分です。体の中で過剰に発生する活性酸素を消去する働きがあるとされています。
タキイ研究農場の分析では、フルティカのリコピン含量は13.8mgでした。可食部100gあたりの数値です。同じ試験で比較された従来の中玉品種は7.2mgでした。およそ1.9倍の差があります。
赤色が濃い品種ほど、リコピンを多く含む傾向があります。フルティカの赤色は、そのまま成分の量にもつながっているわけです。
フルティカに含まれる主な栄養素
ここで、ひとつ正直にお伝えしておきます。国が公表している日本食品標準成分表には、中玉トマトという区分がありません。
そのため、大玉トマトとミニトマトの数値を並べて、目安として見ていきます。
| 成分(可食部100g) | 赤色トマト(大玉) | 赤色ミニトマト |
|---|---|---|
| エネルギー | 20kcal | 30kcal |
| 食物繊維 | 1.0g | 1.4g |
| カリウム | 210mg | 290mg |
| ビタミンC | 15mg | 32mg |
| β-カロテン当量 | 540µg | 960µg |
| 葉酸 | 22µg | 35µg |
出典は日本食品標準成分表2020年版(八訂)増補2023年です。実の小さいトマトほど、重さあたりの栄養が多くなる傾向が読み取れます。
フルティカの果重は40〜50gで、大玉とミニのちょうど中間です。栄養の量も、おおむねこの表の2つの数値の間に収まると考えるのが現実的です。
リコピン
前の章で見たとおり、フルティカの持ち味はリコピンです。リコピンは油に溶けやすい性質があります。この点が、あとで説明する食べ方に関わってきます。
GABA(ギャバ)
GABAはアミノ酸の一種で、トマトにもともと含まれている成分です。血圧が高めの方の血圧を下げる機能が報告されており、機能性表示食品の成分として使われています。
ただし、この機能が認められるには一定量をとる必要があります。数値については次の章で詳しく見ていきます。
カリウムとビタミンC、食物繊維
カリウムは、体の中の余分なナトリウムを排出する働きを持つミネラルです。塩分をとりすぎがちな食生活では、意識したい成分になります。
ビタミンCは、皮膚や骨をつくるコラーゲンの生成に必要な栄養素です。熱に弱いため、生で食べるほうが損失は少なくなります。
食物繊維は、腸の中の環境を整えるのに役立ちます。トマトの場合、皮とゼリー状の部分に多く含まれています。フルティカは果皮が薄くて口に残りにくいのが特徴なので、皮ごと食べやすい品種です。
フルティカは機能性表示食品にも使われている
フルティカの特徴として、あまり知られていない点があります。フルティカを使った生鮮トマトが、実際に機能性表示食品として消費者庁に届け出られていることです。
機能性表示食品とは、事業者が科学的な根拠を国に届け出たうえで、体への働きを表示できる食品のことです。届け出られた実例を並べます。
| 商品名 | 成分と量 | 表示された機能性 |
|---|---|---|
| ひなとま GABAミディとまと(フルティカ) | GABA 130gあたり20mg | 血圧が高めの方の血圧を下げる |
| Hapitoma(ハピトマ) | GABA 28mg・ルテイン22mg | 一時的な精神的ストレスを緩和する |
| 毎日トマト | GABA 21mg | 血圧が高めの方の血圧を下げる |
1つ目はタキイ種苗が2018年に届け出たものです。1日の摂取目安量は130g(おおよそ3〜5個)とされています。
2つ目は、生鮮トマトとして初めてストレス緩和の表示が認められた例になります。
それでも、リコピンを多く含む品種であることは種苗会社の分析データで示されています。フルティカの育て方を知って自分で栽培すれば、採れたてを皮ごと食べられます。この点は家庭菜園の利点です。
リコピンを効率よくとる食べ方
リコピンは、食べ方によって体への吸収のされ方が変わります。押さえておきたいのは次の3つです。
いちばん取り入れやすいのは、オリーブオイルをかけて食べる方法です。切ったフルティカに油と塩を少しかけるだけなので、手間はほとんど増えません。それでいて効果は大きく、リコピンをむだにしない食べ方になります。
加熱にも報告があります。カゴメは名古屋大学との共同研究で、にんにくや玉ねぎ、油と一緒に加熱すると吸収されやすくなる可能性を示しました。トマトソースやスープが理にかなった食べ方になります。
また、同社の試験では朝がもっとも吸収が良いという結果が出ています。朝食に1皿加えるのが、無理のない取り入れ方です。
・ビタミンC重視 → 生でそのまま食べる
・リコピン重視 → 油と一緒に加熱する
どちらか一方に決める必要はありません。両方を組み合わせるのが現実的です。
食べるときに気をつけたい点
体に良い成分が入っているとはいえ、気をつけたい点もあります。
まずカリウムです。健康な人には役立つ成分ですが、腎臓の働きが低下している方は制限が必要になる場合があります。医師から食事の指示を受けている方は、その指示に従ってください。
次に食べる量です。トマトは水分が多く、体を冷やしやすい食べ物でもあります。一度にたくさん食べるより、毎日少しずつ続けるほうが取り入れやすくなります。
わが家のフルティカの栽培記録
筆者は山形県庄内のハウスで、中玉トマトのフルティカを栽培しています。今シーズンは4月5日に播種し、5月30日に開花を確認しました。
初収穫は7月12日で、播種から98日目でした。7月下旬からは、赤くなった実から順に収穫を続けています。
タキイ種苗の資料によると、フルティカの糖度は平均7〜8度とされています。中玉トマトとしては高い部類に入る数値です。
果皮の薄さは、そのまま口当たりの良さにつながります。皮ごと食べても気になりにくいので、リコピンや食物繊維をむだにしません。畑で完熟させてから採れるのは、栽培している人だけができることです。
よくある質問
フルティカは普通のトマトより栄養がありますか
リコピンについては、タキイ研究農場の分析で従来の中玉品種のおよそ1.9倍という数値が出ています。それ以外の栄養素は、一般的なトマトと大きく変わりません。
ただ、甘みが強くて食べやすいため、続けて食べやすい品種だといえます。
家庭菜園で育てたフルティカにもGABAは含まれますか
GABAはトマトにもともと含まれる成分なので、家庭菜園の実にも含まれています。
ただし、量は栽培環境や熟し具合で変わります。機能性表示食品と同じ量が入っている保証はありません。成分の量を目的にするのではなく、日々の食事の一部として考えるのが現実的です。
毎日食べても問題ありませんか
ふだんの食事の範囲であれば問題ありません。機能性表示食品の届出でも、1日の摂取目安量は130g程度とされています。中玉トマトなら3〜5個ほどの量です。
なお、腎臓の病気で食事制限を受けている方は、必ず医師に確認してください。
皮はむいたほうが良いですか
むかないほうが栄養の面では有利です。リコピンと食物繊維は皮の部分に多く含まれています。フルティカは果皮が薄い品種なので、そのまま食べても口に残りにくくなっています。
まとめ
- フルティカはリコピンに着目して育成された中玉トマトで、含量は13.8mg(100gあたり)。従来品種の約1.9倍
- 成分表に中玉の区分はなく、栄養の量は大玉とミニの中間とみるのが目安
- フルティカを使った生鮮トマトは、GABAの機能性表示食品として届け出られた実例がある
- ただし、それは成分量を管理した特定の生産物の話。家庭菜園の実に同じ量が入る保証はない
- リコピンは油と一緒に、加熱して、朝に食べると吸収されやすい
- 腎臓の食事制限を受けている方はカリウムに注意。青い実は食べない
甘みの強さで選ばれることが多いフルティカですが、成分の面でも選ばれた品種です。畑やハウスで完熟させた実を皮ごと食べられるのは、栽培している人の利点になります。
なお、当ブログでは、実際に家庭菜園を続ける中で新しい気づきがあれば、公開済みの記事も随時加筆・更新しています。
そのときどきの畑の様子や試した結果も少しずつ書き加えていきますので、また見に来ていただけたら幸いです。


