山形の規格外さくらんぼを活用!さくらんぼ酒の作り方と仕込み手順【東北・山形の農家が解説】

「初めてのさくらんぼ酒作り 規格外のさくらんぼを有効活用」のテキストと仕込み中の瓶 果実酒
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6月、アジサイが色づきはじめる頃、山形はさくらんぼの最盛期です。この時期になると、知り合いのさくらんぼ農家の方々から、食べきれないほどたくさんのさくらんぼをいただきます。ありがたく贅沢な話ですが、それでも家族だけでは到底食べきれません。いただく中には、味は変わらないのに傷・小粒・色ムラといった見た目の理由で出荷できない「規格外のさくらんぼ」も多く混じっています。

色づきはじめた青いアジサイの花。6月の庄内にて

写真:色づきはじめたアジサイ。庄内ではこの頃が、さくらんぼの最盛期と重なります(2026年6月)

食べきれない分をそのまま傷ませてしまうのは惜しい話です。そこで今年は、この食べきれない量のさくらんぼでさくらんぼ酒(さくらんぼの果実酒)づくりに挑戦することにしました。梅酒と同じ要領で、ホワイトリカーに漬けて寝かせるだけ。難しい工程はありません。

この記事では、規格外さくらんぼを使ったさくらんぼ酒の作り方と仕込みの手順を、材料の選び方から保存・飲み頃の目安までまとめます。あわせて、家庭で果実酒を作るときに必ず守るべき酒税法上の決まりも、最初に整理しておきます。

木に実った収穫期の赤いさくらんぼ。知り合いのさくらんぼ園にて

写真:知り合いのつくしさんが収穫の合間に撮ってくれた、木で赤く色づいたさくらんぼ(2026年6月・提供)

この記事で分かること

  • 家庭で果実酒を作るときの酒税法のルール(ここを外すと違法になります)
  • 規格外のさくらんぼがさくらんぼ酒に向いている理由
  • 材料と道具の選び方(さくらんぼ・お酒・氷砂糖・保存瓶)
  • 下処理から漬け込みまでの仕込み手順
  • 飲み頃の目安と、保存・楽しみ方

はじめに知っておきたい|家庭で果実酒を作るときの酒税法

さくらんぼ酒のように市販のお酒に果実を漬け込むのは、家庭で楽しむ範囲なら法律で認められています。ただし、いくつか守るべき条件があります。ここを外すと「酒類の製造」とみなされ、酒税法違反になります。仕込みの前に必ず目を通してください。

家庭で果実酒を作るときの決まり(酒税法)

  • 自分や家族が飲む目的だけに作れます。作った果実酒を売ること(販売)はできません
  • 漬けるお酒はアルコール度数20度以上のものを使います。ホワイトリカー(35度)が定番です。20度未満のお酒で漬けるのは違法になります。
  • 漬けてはいけない材料があります。米・麦・あわ・とうもろこし・こうりゃん・きび・ひえ・でんぷん、これらのこうじ、そしてぶどう(山ぶどうを含む)は漬け込み禁止です。さくらんぼは問題なく漬けられますが、ぶどうは禁止対象なので注意してください。
  • できあがった果実酒に、あとから新しく発酵が進むようなものを加えないでください。

参考:国税庁「混和の特例(自家製梅酒等)」。20度以上の酒類に果実等を漬ける範囲は、自家消費に限り製造行為にあたらないものとして扱われています。

梅酒を漬けたことがある方なら、考え方はまったく同じです。「度数の高いお酒を使う・売らない・ぶどうは漬けない」。この3点さえ守れば、さくらんぼ酒は安心して仕込めます。

規格外のさくらんぼが、さくらんぼ酒に向いている理由

さくらんぼの「規格外」は、傷・小粒・色ムラ・双子果(実が2つくっついたもの)など、見た目が出荷基準に届かないものを指します。贈答用の箱詰めには使えませんが、中身の味や甘みは出荷品とほとんど変わりません

そのまま生で食べる場合は見た目も気になりますが、果実酒にしてしまえば、漬けたあとは形が見えなくなります。小粒で果肉に対して種の割合が高いものほど、種から出る香りが酒に移りやすいという利点もあります。見た目で値が付かないさくらんぼほど、果実酒では持ち味を発揮します。

山形では、6月のさくらんぼシーズンになると、知り合いの農家さんから規格外品をたくさんいただくことがあります。我が家でも食べきれないほどの量になるので、生で食べきれないぶんを果実酒に回すと、最後までおいしく使いきれます。

規格外が手に入らない方や、正規品の味も楽しみたい方には、山形県産の紅秀峰(べにしゅうほう)が通販でも手に入ります。大粒で甘みの強い、初夏のさくらんぼです。

山形県産 さくらんぼ「紅秀峰」(約1kg・ご自宅用)
品種は佐藤錦・紅秀峰・ナポレオンなど、手に入るもので問題ありません。甘みの強い佐藤錦は丸みのある仕上がりに、酸味のしっかりしたナポレオンは香りが立ちやすい傾向があります。赤く色づいて完熟したもののほうが香りが出やすいので、規格外の中でも色の濃い実を選ぶとよいです。傷んで汁が出ている実・カビのある実は、雑味の原因になるので取り除いてください。

材料と道具|さくらんぼ酒の基本の分量

今回、実際に仕込んだ分量です。4リットルの保存瓶1本ぶんの、たっぷり作れる量にしています。

材料・道具分量選び方のポイント
さくらんぼ(規格外でOK)1kg赤く色づいた実。傷み・カビは除く
ホワイトリカー(35度)1.8L必ず20度以上。35度が漬かりやすい
氷砂糖300gじっくり溶ける氷砂糖が向く
保存瓶(密閉できるもの)4L煮沸またはアルコールで消毒したもの

氷砂糖の量は好みで調整できます。さくらんぼ自体に甘みがあるので、梅酒より控えめでも十分です。今回はさくらんぼ1kgに対して氷砂糖300g(約3割)にしました。甘さをおさえたいときは200g程度まで減らせます。あとから足すこともできるので、最初は少なめから始めると失敗が減ります。半分の量で作るときは、すべて半量(さくらんぼ500g・ホワイトリカー900ml・氷砂糖150g・2L瓶)にしてください。

仕込みに使う材料・道具

さくらんぼ酒の作り方|仕込み手順

工程は梅酒とほぼ同じです。洗う・水気を取る・瓶に詰める・お酒を注ぐの4ステップ。所要時間は下ごしらえを含めても30分ほどです。

STEP 1

保存瓶を消毒する
瓶を洗ってよく乾かし、煮沸消毒するか、度数の高いお酒(ホワイトリカーなど)を含ませたキッチンペーパーで内側を拭きます。雑菌が残るとカビや濁りの原因になるので、ここは丁寧に。

果実酒(梅酒・さくらんぼ酒など)の瓶を消毒するなら、食品に使えるアルコールスプレーが手軽です。私も保存瓶の消毒にこれを使っています。

保存瓶の消毒におすすめ(食品用アルコールスプレー)

おすすめの理由

  • アルコール濃度77%で除菌効果が高い
  • 食品にかかっても安心な食品添加物グレード
  • 果実酒・ジャム・保存瓶の消毒で定番
  • スプレーするだけで手軽
STEP 2

さくらんぼを洗って水気を完全に取る
さくらんぼをやさしく洗い、傷んだ実・カビのある実を取り除きます。軸(柄)は付けたままでも、取ってもどちらでも構いません。軸を残すと香りが、取ると見た目がすっきりします。洗ったあとはザルにあげ、清潔なふきんやキッチンペーパーで水気を一粒ずつしっかり拭き取ります。水分が残ると傷みやすくなります。

STEP 3

瓶にさくらんぼと氷砂糖を交互に入れる
消毒した瓶に、さくらんぼと氷砂糖を交互に重ねて入れます。氷砂糖が下に偏らないよう、層になるように分けて入れると均一に溶けます。

STEP 4

ホワイトリカーを注いでフタをする
さくらんぼと氷砂糖が完全に浸るまでホワイトリカーを注ぎます。実が液面から出ているとカビの原因になるので、しっかり沈めます。フタを閉めたら、仕込んだ日付をラベルに書いて貼っておきます。

仕込み後は直射日光の当たらない冷暗所で保管します。最初の1週間は1日1回ほど瓶をゆっくり回し、氷砂糖を溶かしながら全体をなじませます。早ければ1か月ほどで飲める色と香りになり、3か月以降でさらに角が取れて落ち着いた味になります。

さくらんぼ酒の仕込みの様子(実際に漬けてみました)

この記事を書いている6月、知り合いから今年も規格外のさくらんぼをたくさんいただきました。生では食べきれない量なので、2026年6月15日、実際にこの規格外のさくらんぼでさくらんぼ酒を仕込みました。さくらんぼ・氷砂糖・ホワイトリカーを瓶に入れるだけで、下ごしらえを含めても30分ほどでした。

さくらんぼ・氷砂糖・ホワイトリカーを瓶に入れた漬け込み開始直後

写真:漬け込み開始。さくらんぼ・氷砂糖・ホワイトリカーを瓶に入れた直後(2026年6月15日)。お酒はまだ透明です

漬けた直後は、お酒はまだ透明です。ところが、わずか30分ほどで氷砂糖が溶け、お酒がさくらんぼの色を吸って、すごく鮮やかに色づきました。想像していたより早い変化で、見ているだけでも楽しい工程です。

漬け込みから30分後、氷砂糖が溶けてお酒が鮮やかに色づいたさくらんぼ酒

写真:漬け込みから30分後。氷砂糖が溶け、お酒が鮮やかに色づいてきました

このあとも、数日かけてさくらんぼの赤がさらににじみ出し、少しずつ紅色が深まっていきます。色や香りの移り変わりは、経過にあわせてこのページに追記していきます。

仕込みで失敗しないための注意点

さくらんぼ酒は工程が少ないぶん、つまずく所もはっきりしています。仕込みで気をつけたい点をまとめます。

水気が残るとカビ・濁りの原因になる

いちばん起こりやすい失敗が水気の拭き残しです。さくらんぼは梅に比べて実がやわらかく、洗ったあとの水分が表面に残りやすい。水気が残ったまま漬けると、表面に濁りが出たりカビの原因になります。面倒でも一粒ずつ拭くのが、結局いちばんの近道です。

実が液面から出ているとカビやすい

さくらんぼは梅より軽く、漬けはじめは浮いてきます。実がお酒から顔を出していると、その部分からカビることがあります。お酒は実がしっかり沈むまで注ぐこと、浮きが気になる場合は清潔な落としラップなどで軽く押さえると安心です。

長く漬けっぱなしにすると渋み・えぐみが出る

さくらんぼには種があり、長く漬けすぎると種から渋みやえぐみが出てくることがあります。気になる場合は、3〜6か月を目安に実を取り出すと、すっきりした味に保てます。取り出した実はそのままでも、刻んでお菓子作りに使ってもよいです。

完成したさくらんぼ酒は、あくまで自分や家族が飲むためのものです。記事冒頭でも触れたとおり、販売はできません。人にあげる場合も、対価を受け取らない範囲にとどめてください。

飲み頃と保存・楽しみ方

飲み頃の目安は仕込みから1か月後から。3か月、半年と置くほど味が落ち着いていきます。保存は冷暗所で問題なく、度数の高いお酒で漬けているため日持ちします。実を取り出したあとは、瓶を密閉して同じく冷暗所で保管します。

ルビー色のさくらんぼ酒をグラスに注いだイメージ

写真:仕上がったさくらんぼ酒は、ロックやソーダ割りで楽しめます(イメージ)
飲み方割り材・目安向いている時季
ロック氷を入れてそのまま香りをそのまま楽しみたいとき
ソーダ割り炭酸水で2〜3倍暑い時季、食前に
お湯割りお湯で2倍ほど寒い時季、寝る前に
お菓子・料理ゼリーやアイスに少量取り出した実とあわせて

アルコールを控えたい方には、漬けたさくらんぼの実をゼリーやヨーグルトに加える使い方もできます。お酒の部分とは別に、果実そのものを最後まで活用できるのも、果実酒の良いところです。

よくある質問

Q. ホワイトリカー以外のお酒でも作れますか?

A. アルコール度数が20度以上であれば、ホワイトリカー以外でも作れます。ブランデーやウォッカ、35度の焼酎などが使えます。ただし20度未満のお酒(一般的な日本酒・ワインなど)で漬けるのは酒税法違反になります。度数表示を必ず確認してください。

Q. 種は取ったほうがいいですか?

A. 取らずに漬けて構いません。種を残すと、アーモンドに似た香りがほのかに移ります。ただし長く漬けすぎると種から渋みが出るため、気になる場合は3〜6か月で実を取り出してください。

Q. 氷砂糖の代わりに普通の砂糖でもいいですか?

A. 上白糖やグラニュー糖でも作れますが、氷砂糖はゆっくり溶けるぶん、果実のエキスが出やすく濁りにくいので向いています。甘さを足したいときは、漬けている途中で氷砂糖を追加することもできます。

Q. どのくらい日持ちしますか?

A. 度数の高いお酒で漬けているため、冷暗所で長期間保存できます。ただし実を入れたままにすると渋みが出るので、長く置く場合は実を取り出してから保管するのがおすすめです。

まとめ|規格外のさくらんぼを、もう一度おいしく

見た目で値の付かない規格外のさくらんぼも、果実酒にすれば持ち味をしっかり活かせます。さくらんぼ酒の手順を、最後にまとめておきます。

  • 酒税法を守る:自家消費のみ・20度以上のお酒で漬ける・販売はしない・ぶどうは漬けない
  • 材料:規格外さくらんぼ1kg/ホワイトリカー35度 1.8L/氷砂糖300g(4L瓶ぶん)※半量でも可
  • 手順:瓶を消毒 → さくらんぼの水気を完全に拭く → 氷砂糖と交互に詰める → お酒を注ぐ
  • 失敗回避:水気を残さない・実を液面から出さない・漬けすぎたら実を取り出す
  • 飲み頃:1か月後から。3か月以降で味が落ち着く

6月の山形は、アジサイが咲き、さくらんぼが色づく季節です。いただきものや直売所などで規格外のさくらんぼが手に入ったら、生で食べきれないぶんをさくらんぼ酒に回してみてください。手間が少ないわりに、長く楽しめます。

なお、当ブログでは、実際に家庭菜園を続ける中で新しい気づきがあれば、公開済みの記事も随時加筆・更新しています。

そのときどきの畑の様子や試した結果も少しずつ書き加えていきますので、また見に来ていただけたら幸いです。

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