収穫を楽しみにしていたフルティカが、収穫直前になって、ヘタの周りからかなりの数が割れてしまいました。
実が色づき始めた頃からは、水やりを控えて管理していました。それでも裂果(れっか)が発生した原因として思い当たるのは、梅雨明けが遅く、ハウスの外で雨が降り続いていたことです。
実際に栽培してみて、水やりを控えるだけでは裂果を完全に防げるわけではないことを実感しました。
この記事では、庄内地方のハウス栽培で実際に起きた裂果の様子と考えられる原因、そして割れてしまったフルティカを冷凍保存した方法まで、実体験をもとに紹介します。
この記事で分かること
- 割れ方(放射状・同心円状)で見分ける裂果の原因
- 灌水を控えていても割れる2つの仕組み
- 裂果に強いフルティカが、それでも割れた条件
- 裂果を減らす5つの管理
- 割れた実を冷凍で保存する手順と日もちの目安
灌水を控えていたのに割れた|7月末の記録
実が大きくなり、色づき始めたころから、灌水はぐっと控えていました。水を絞ったほうが味が濃くなりますし、やりすぎなければ割れないだろうと考えていたからです。
7月28日ごろから色が一気に回りはじめ、30日には収穫箱がいっぱいになりました。ところがこの日、かなりの数の実が、ヘタの周りから割れていました。播種から116日目でした。
割れは翌日も続きました。下の写真は、8月1日に採った分です。
裂け目はヘタを起点に、外へ向かって線のように伸びています。乾いて茶色い筋になっているものもありました。
ハウスの中に雨は入りません。それなのに割れてしまった。この年の庄内は梅雨が長く、7月の下旬まで雨の日が続いていました。
割れ方で原因が分かる|裂果の3タイプ
ひとくちに裂果といっても、割れ方によって引き金は違います。タキイ種苗の解説では、次のように整理されています。
| タイプ | 割れ方 | 出やすい時期 | 主な引き金 |
|---|---|---|---|
| 放射状裂果 | ヘタから外へ放射状 | 実が肥大する緑のうち | 強い日射と急な吸水 |
| 同心円状裂果 | ヘタの周りを輪のように | 色づきはじめてから | 果皮が硬くなった後の急な吸水 |
| もらい水の裂果 | ヘタの際から浅く | 収穫期を通して | ヘタに溜まった水(雨・結露) |
割れていたのは、いずれも放射状でした。実が急に大きくなる時期に、そこへ水が入ったのだと思います。
灌水を控えても割れる2つの仕組み
根はハウスの裾を越えて水を吸う
はじめは土からの経路です。根は畝の外まで広く張り、ハウスの裾を越えていることもあります。外の地面が湿れば、その水は土を伝って畝の下へ入ってきます。
乾かし気味に育てていた株が急に水を得るので、乾湿の差はむしろ大きくなってしまいます。
湿った空気が実に水を回し、朝の結露が皮から入る
もう1つは、空気の湿りです。千葉県の技術指導資料には、湿度の高い状態が続くと葉からの蒸散が抑えられると書かれています。外へ出ていかない分、水は実のほうへ回ります。
さらに厄介なのが朝です。日が出て気温が上がっても、実はまだ冷えたままなので、表面に露がつきます。この露は、果皮やヘタの付け根から実の中へ吸われていきます。
長雨の朝は、この2つが重なります。土からも空気からも水が入り、内側から皮が押されてしまいます。ハウスの管理全体はフルティカ栽培マニュアルにまとめています。
水やりを控えているから大丈夫、とはいきません。外の雨が続いたときは、ハウスの中でも畝の土を掘って、湿り具合を確かめてみてください。
裂果に強い品種でも、条件が重なれば割れる
フルティカはタキイ種苗の中玉品種で、公式カタログでも裂果の少ない品種として紹介されています。果肉に弾力があるため、昼と夜の温度差が大きい春や秋でも割れにくいとされています。
それでも割れました。品種の強さは「割れない」ではなく「割れにくい」ということなのだと思います。
いっぽう、隣で育てているミニトマト「CFプチぷよⅡ」は、1個も割れていません。プチぷよの皮は、フルティカよりさらに柔らかくて薄いのに、です。
薄い皮ほど割れそうに思えますが、結果は逆でした。柔らかい皮は内側から押されても伸びます。種苗会社の説明でも、極薄の果皮ながら弾力があって裂果しにくい品種とされています。実が小さいぶん、皮を押す力も分散します。
裂果を減らす5つの管理
長雨の年に、完全に防ぐことはできません。それでも、次の5つで割れる数は減らせます。
1 灌水は毎日少量に分ける
3日空けて一度にたっぷり与えるより、毎日少しずつ続けるほうが振れ幅は小さくなります。点滴チューブや簡易な潅水器で、ゆっくり浸みこませます。
2 長雨のときは畝の湿りを確かめる
外が雨続きなら、灌水はさらに絞ります。畝を10cmほど掘って土を握ってみて、団子になるようなら水は足しません。
3 窓を開けられない時期は空気を動かす
連日の雨では、ハウスの窓は開けられません。開ければ雨が吹き込んでしまいます。湿気を逃す換気ができないのが、長雨の時期のいちばん厄介なところです。
先の千葉県の資料には、送風で株のまわりの空気を動かし、結露を防ぐ方法が挙げられています。家庭菜園なら、小型のサーキュレーターでも代わりになりそうです。雨がやんだ合間には、窓を開けて湿気を抜きます。
4 実に直射を当てない
果皮は強い日射を受けると硬くなり、あとから水が入っても伸びずに裂けます。摘葉をしすぎず、房の上の葉を残して日陰をつくります。真夏なら遮光資材も選択肢です。
5 色づいたら早めに採る
完熟をぎりぎりまで待つほど、雨に当たる回数は増えます。雨の予報が続くときは、赤くなった実を前日までに収穫しておきます。採ってから色を進める方法はトマトが赤くならない5つの原因と対策にまとめています。
割れた実は収穫して冷凍で保存する
その日のうちに収穫する
わずかな割れでも、翌日には裂け目から傷み始めることがあります。見つけたら、完熟を待たずその日のうちに採ってしまいます。畑に置いたままにはしません。
食べきれない分は冷凍する
今回は数が多くて、生では食べきれませんでした。捨てるのはもったいないので、残りは冷凍にしました。手順はこれだけです。
- ヘタを取る
- 水で洗う
- ふきんやペーパーで水気をしっかり取る
- 保存袋に入れ、空気を抜いて冷凍する
水気が残ると霜がつくので、拭き取りだけはていねいにやりました。1か月ほどはもつと聞いたので、そこを目安にしています。
冷凍すると生のままの食感には戻りませんが、皮がむきやすくなるので、ミートソースやスープ、カレーには使いやすそうです。解凍したあとの味や使い勝手は、実際に食べてから書き加えます。
よくある質問
割れたトマトは食べられますか
割れて間もない実なら食べられます。ただ傷みが早いので、その日か翌日までに食べてしまってください。白いカビが出たものや、汁がにじんで酸っぱいにおいのするものは処分します。
露地栽培でも裂果は防げますか
雨よけの屋根を掛ければ、雨が直接当たる分は減らせます。ただし地面からの吸水は残ります。畝を高くして、株元を敷きわらやマルチで覆ってください。
肥料で裂果は変わりますか
窒素が多すぎると、ヘタの周りが硬くなって割れやすくなるといわれます。追肥は少量ずつが無難です。
まとめ
- 割れ方を見る。放射状なら肥大期の吸水と日射、輪状なら色づき後の吸水
- 水やりを控えていても、外の長雨で土と空気の両方から水が入る
- 湿度が高いと蒸散が抑えられ、朝の結露も果皮から吸われる
- 毎日少しずつの灌水、実に直射を当てない、色づいたら早めに採る
- 割れた実はその日のうちに収穫。食べきれない分は冷凍で1か月ほど
なお、当ブログでは、実際に家庭菜園を続ける中で新しい気づきがあれば、公開済みの記事も随時加筆・更新しています。
そのときどきの畑の様子や試した結果も少しずつ書き加えていきますので、また見に来ていただけたら幸いです。


